「スタメンは俺、リオンとウイング、龍祐とライトニングでいく。いいな?」
狭く、薄暗い控え室で皆の顔を見る。その表情は皆、真剣。
一同「おう!」
解説者「今年もやってきました、メダロット甲子園関東地区大会!さぁ優勝候補と言われている花園中!リーダーである白虎 ショウは一番の注目株です!」
広い、人工芝のひかれた場所。そこに各地に取り付けられたスピーカーから実況が聞こえてくる。
ハヤト「あいつ、結構すごいんだな。」
場内に響き渡る解説を聞きながら、最終調整をおこなう。
エクス『俺達のほうが強いさ。』
ボディは調整中なのでメダロッチの中。
解説者「さあ、本日第二戦は花園3中VS鉢鍋中!この花園3中は…」
リオンS「あ、俺達だ。」
ウイング「そうだな。」
解説者「…ム全員が2年生という驚きのチーム!さらにリーダーの鍬利 ハヤトはメダロットを始めてまだ5ヵ月!どうなるか非常に楽しみです!本日3戦目は…」
流「どうなるかわかんないけど…」
ファイア「出番があれば全力を尽くす!」
この前とは少し違う感じがする。
すこしだけ闘のオーラを感じる。
龍祐「ライトニング…この大会で優勝したら僕の両親に会えるかなぁ?」
ライト「さあな、でも変な期待は持たないほうが良いんじゃないか?」
龍祐「そうだね。」
にぱっ、と明るい笑みを見せる。友を不安にさせないためだ。
遠くのロボトルリングでおおおお、という驚きのような歓声が上がった。
ハヤト「なんだ?」
エクスカリバーのメダルをボディに装着しながら後ろに立っていたリオンSに問いただす。
リオンS「ああ、なんでもすげえ奴がいてもう試合、きめちゃったんだってさ。」
ウイング「このままいくと…三回戦で当たるな。」
グラウンドの中央にある電光掲示板に表示されたトーナメント表をみてつぶやく。
エクス「そろそろ出番だな。」
気がつくと一同、ハヤトの前に集まっていた。
ハヤト「行くぜみんな!目標は!?」
何故かみんな前かがみになり、ガッツポーズのような構えをしてる。
一同「優勝だ!優勝だ!優勝優勝優勝だ!優勝だ!優勝だ!優勝優勝優勝だ!」
オイ。
「こりゃ、楽勝だな。」
少年は呟いた。目の前に立つ、自分より一歳年下の少年達を見ながら。
ハヤト「楽勝かどうかはやってみて分かりますよ。」
不適な笑みをうかべ、握手をし、持ち場に戻る。
エクスカリバーが一番前、その一歩うしろの左右にウイングとライトニング。
向こうはNIN型がリーダー、その後ろに射撃系が一体、援護型が一体のようだ。
レフェリー「準備は良いですね?それでは…ロボトルファイト!」
真っ先に動いたのはエクスカリバー、前方に高速で接近しながら背負っていたシールドを構える。
NINが後ろの二体に何か言い、駆け出す。
エクスカリバーに向かって射撃を開始する向こうの射撃型。援護型の補助充電もあって連射速度が上がっている。
ウイング「エクス!」
ウイングが叫ぶ。それにあわせて高くジャンプするエクスカリバー。
標的を見失ったNINが一瞬動きを止める。それがいけなかった。直撃こそ免れたものの両腕の武器を反応弾で砕かれ、攻撃手段が殴ることしかなくなる。
射撃型の前に着地するエクス。突然の奇襲に射撃を止めて防御に徹する。
しかしエクスは攻撃することなく援護型に向かって駆け出す。
何がなんだかわからずボーっとエクスの方を見ていた。主の指示が飛んだときにはもう遅く、彼の頭部に高出力のビームが命中していた。無論、撃ったのはライトニングである。
攻撃手段が無く、防御するしかない援護型。小さく跳躍、援護方の頭に手をつき、反転。シールドを投げ出しそのままビームブレードを振り上げる。機能停止。
終わり!と呟き、NINの頭部に向かって44マグナムから一撃。対象物にあたり小さく爆発する弾丸。もんどりうって倒れ、機能停止。
レフェリー「リーダー機、機能停止!勝者、花園3中!」
愕然とした表情でうなだれ、呟く相手の少年。
「俺達の秋が終わった…」
ハヤト「少しだけ…悪いことしたなぁ…?」
エクス「勝負とはそんなもんよ。どっちかが負けとっちかが勝つ。いい事ばっかりとはいかないんだよ。」
メダロッチを通しての声。それによってすこしだけ気分が晴れた気がした。
ハヤト「次は二回戦だ!気を引き締めていくぞ!」
一同『おう!』
二回線は楽勝だった。単なる力押しで勝てたからだ。
ミナ「お〜い、ハヤトちゃん!」
声を聞き、ふと上を見上げると髪型をポニーテールにしたミナが手を振っていた。
ハヤト「よう!」
笑顔を浮かべ軽快に手を振る。
「くぅ〜わぁ〜りぃ〜」
後ろから殺気が。それに気付き右に飛びのく。
ハヤト「なんのようだ!カイ!」
後ろに立っていたのは前髪だけ茶髪の自分より年上の少年、ショウ。
ショウ「ミナちゃんといちゃいちゃするのは俺に勝ってからにしろ!」
ハヤト「一度勝ったじゃないか。」
半ば、呆れ顔。
ショウ「うるさいうるさいうるさーい!あれは無効だ!無しだ!この大会で決着をつけてやる!」
ハヤト「よしよし、興奮するなよ。」
ショウ「ガキ扱いするなぁ!」
ハヤト「ほざけ!」
ショウ「とにかく、決勝で勝負だからな!」
ハヤト「準決勝だろ?あたるの。」
ショウ「どうでもいい!とにかく、その時に決着をつけてやる!」
次は勝てないような気がした。ものの数十秒で一回戦の相手を倒したチーム。しかし、どんな相手が来ようとも俺は負けない!
ハヤト「よっしゃ、まずは二回戦突破!」
エクス「凄い気合の入れようだな。」
ハヤト「おう、やるからには…勝つ!それが俺のポリシーだ!」
エクス「はぁ〜ん。次回、白きクワガタの伝説『氷のクワガタ、炎のカブト』燃えろ、熱き魂!なんてね。」