朝の会の前。
エクス「メダロット部をよろしくー」
2-3の教室前でエクスカリバーが必死に手紙を配っている。
部員集めは難航しそうな勢いだった。



白きクワガタの伝説   Memory 2  誕生!メダロット部!!



ハヤト「…………」
熱い(冷めた?)視線が一点に注がれている。
髪が腰まである男子生徒を。
ハヤト「……………………………よし。」
彼に向かって歩き出す。
そして、肩をポンと叩く。

ハヤト「貴様、メダロッターだな」
もっとも、右腕に二つのメダロッチをつけている時点でかなりの兵(つわもの)と見える。
男子生徒「はい、そうですよ♪」
少年の言葉からはそんな雰囲気は感じ取れないが、直感が告げている。
こやつは強いに違いない、もしくはこれから強くなると。

ハヤト「メダロット部に入らないか?」
これ以上の言葉は要らない。
後は本人の意志に任せるのみ。

男子生徒「…………………………………」
下唇に人差し指を当てて考え、きっちり3秒の間の後、
男子生徒「いいですよ。」
お気楽に言った。
ハヤト「GET!」
思わずガッツポーズ。天を仰ぎこの世の神様に感謝する。まだ何も終わってないのに。
いくらか今の事情を説明したところで、急に声を上げた。
男子生徒「あ、友達一人連れてきます!」
早急に教室の端っこで女子に話しかけてはうざがられてる男子生徒を連れてくる。
耳を隠すには至らないぐらいに伸びた黒い髪が後ろからでも見える。

ズルズルズル……………
無理矢理引っ張られてこちらまでやってくる。
後ろで女子生徒たちが彼に感謝の眼差しを送っているのが見えたがここはスルーに決定。

男子生徒2「なんだよぉ〜せっかくいい雰囲気だったのに。」
どこが。
そういいたげな周りの女子からの殺意の篭った視線が突き刺さりまくっている。

ハヤト「(こいつ!なかなかやるな!!そんな気がする。)」
このときばかりは彼の人の真意を見抜く目が曇っていたようだ。

失礼な、と男子生徒2号が声を上げたが敢えて無視。
男子生徒2「まってましたぁ!入るぜ!入りまくるぜ!!」
内ポケットから入部届を次々と出す。軽く100枚は超えているだろう。
ハヤト「…これで三人目」
そう呟くと共に一枚を残し、散らばった入部届を全て2号のポケットに押し込む。
燃えるごみはちゃんとごみ箱に捨てましょう。
そんな張り紙が教室の後ろに張ってあった。

ガララララララ。
教室のドアが開く。
それと同時に各員、戦闘配備…ではなく自分の机に着く。

先生「これから朝の会を始めま〜す。」
先生の呑気な声が響き、取り敢えず出席番号一番のが声を上げる。
「起立、礼!」
これはまぁお決まりといいますか。

先生「今日は転校生を紹介します。」
言いながら自分の入ってきたドアを見る。
それらしい人影がちらほら。

「今日もでしょ!」
どこぞの少年が言う。
ハヤト「(…一日遅れて、か…どうしてだ?)」
心の中で呟き、答えを求めたが生憎誰も読心術を心得てはいなかった。

先生「それでは、どうぞ〜」
兎に角、その転校生が入ってきた。
頭にゴーグルを着けた、昨日あった少年だった。
転校生という同じ立場からかちょっとだけ親近感がハヤトの中に芽生えたが、それはどうでもいい。

転校生「神龍 リオンです。」
クラス中から驚きの声が上がる。
へぇ、とハヤトが呟く。
神龍 リオン。
偽者が現れるほどの有名なメダロッター。
ここで語らなくてもいいだろうが、一応言っておくと11年経った今でもメダロッターなら一度は聞いたことのある名前。
現在の年齢は24歳だが。

ハヤト「(同姓同名とは珍しいな。)」
それでもハヤトの反応はこんなものであるが。
転校生「?」
きょとん、と言った感じである。
驚きの声の意味が分からないようだ。

先生「神龍君、君の席は鍬利君…あそこの席の子の隣り。」
ハヤトが気がついて横に顔を向ければそこに新品の机が何時の間にか置かれている。
昨日まではなかったはずである。
世界には自分の知らないことがまだたくさんあるんだなぁと感心しているハヤトの横に、リオンSが座る。

リオンS「名前はさっき聞いてたな。まぁ、よろしく」
ふと重なった視線の向こうの瞳に、どこか暗いものが見えたような気がした。

ハヤト「…よろしく。」
呟きにも聞こえるぐらい小さな声で返す。別に意味はないのだが。

リオン「いきなりですまんがこの学校にはメダロット部はないのか?」
ハヤト「俺が作ってる。」
その後に今部員集めの途中と付け加える。

リオン「?」
しばらく黙りこんでいたが、なるほど!と言った感じで首を縦に振る。
リオン「ならば、俺を入れてくれ。足手まといにはならないはずだ」
とんだ物好きがいたものだと感心しながら、頷いた。
ハヤト「…いいのか?後悔しないな。」

リオン「おう。こいつもロボトルできて喜んでるはずだ」
腕につけられたメダロッチに目をやる。白い本体に青いベルト。翼の模様が描かれている。
ハヤト「メダロットの型と名前は?」
やはりメダロッターなら誰でも…というわけではないだろうが気になるもの。

リオン「ブレードウイング、KBT型だ。」
淡々と話す。誰に似たんだか。

ハヤト「ブレードウイング?KBT?!まさか…」
へぇ、なりきりかぁと
それらしいことを考えてみる。
リオン「そう、そのまさかだ」
パカっとメダロッチを開ける。中には青い瞳の銀色の翼竜の描かれたメダルが。
予想が外れた。目の前にあるのは噂に聞く翼竜メダル。
奇跡と偶然のタッグマッチによって生まれたとか違うとか。
世界にたった2枚しかない。
ハヤト「これが翼竜メダルか…始めて見る。」
本物だ、としか考えようが無い。
コピーメダルの噂も流れたことがあるがこうして見るとコピーでもなんでも良くなってくる。
リオン「だろ!俺も昨日始めて見た。」
ハヤト「昨日?」
時間が妙に近いことに気掛った。
リオン「おう!昨日俺のいとこ…えっと、こいつもリオンって言うんだけど、そいつのメダロットで最近ゲームとかごろごろしてばっかりだから俺と一緒に来ることになったんだ。」
なるほど、と呟いて縮訳すると…

ハヤト「つまり、もらったってこと?」
となる。

リオン「多分。メダロッチもくれたし。」
そして、

先生「そこ、しゃべりしなぁい!」
注意される。

 

 

省略。

 

 

ハヤト「校長、部員そろいましたので部室を。」
かたっくるしい雰囲気の部屋、校長室。
部員全員を集めて、その部屋に入る。
校長「ああ、そうだったね。部室は体育館の横の小屋を使ってくれ。」
温厚そうな性格の、太った校長。
話は通っていたらしく、例の活躍しなければ潰れる、という書類に名前を書き入れ拇印を押す。

それを提出して
ハヤト「それでは。」
とだけ残して早々に出ていった。

 

部室

そこにはメダロット部員の4人の姿があった。
「俺が部長の鍬利 ハヤトだ。じゃあ、右の奴から自己紹介を。」
一番右にいる髪の長い部員を指す。
「えっと、名前は神龍 龍佑(シンリュウリュウスケ)。メダはKBTのライトニングとNASのナース。」
つぎに真ん中に立っているのが自己紹介をする。
「俺の名は海 流(ウミ ナガレ)。愛機はKBTのファイア。」
そして最後に先ほどの…
「俺の名前?…神龍…神龍 リオンだ!!」


翼のメダロット終わり。

ではなくて。
流「っていうかさぁ、メダロット部って何するの?」
流が挙手し、指されてもいないのに発言する。
ハヤト「まずは練習試合!練習!朝練!」
やる気満々。
ハヤト「じゃ、まずはロボトルだ!全員、外に出ろォ!!」
全「お――!」
ハイテンションのまんま、外に出ていく。

 

ハヤト「んじゃ、俺とリオン。そっちは流と龍祐で。」
流&龍「はぁ〜い。」
リオン「それじゃ…」
全『転送!』

 

          鍬利 ハヤト 神龍 リオンVS神龍 龍佑 海 流

使用メダ エクスカリバー ブレードウイング  ライトニング ファイア 

フィールド 裏庭

 

 

リオン「そしてぇ…」

 

全『ロボトルファイト!』

 

ハヤト「エクスカリバー、オウギー展開!」
リオンS「ウイング、マグナム!」

同時に指示が飛ぶ。
4体がほぼ同時に動き出す。
ライフルでファイアへの牽制。

続けてエクスがオウギーを広げた状態で突っ込む。
流「撃ちまくれ!」
ファイア「そんないいかげんな指示を出すな!」
自分の主に向かって叫ぶ。まあ、こんな指示じゃあね。
それでも指示に従って両腕から炎に包まれた弾丸を放つ。

リオン「反応弾!」
ウイング「おっし、いっけぇぇぇぇぇ!!」
指示と共に頭の角から反応弾を出す。
ファイアが打ち落とし、接近していたエクスを隠すようにして爆発。
ハヤト「ビームブレード、出力全開!」
爆煙の中で、鮮やかなピンクの煌きが走り、ファイアの横に立っていたライトに迫る。

龍祐「ビームソード、展開!」
左腕の銃口からソードを伸ばし、受け止める。
補助能力の剣とメイン能力の大剣の刃では威力が格段に違い、ライトの腕が弾かれる。
ハヤト「接近戦!」
流れるような動きで間合いを詰め、オウギーで薙ぐ。
龍祐「アペンディスター!」
中途半端な状態での発射。
狙いも正確ではなく、精々威嚇程度。
それでも間合いを少し離すことに成功し、続けて右腕から散弾が飛ぶ。
エクス「それくらいわけないぜ!」
回避。大地を蹴り、高く飛翔するエクスカリバー。
龍祐「空中なら身動きが取れないはず…撃って、ライトニング!」
左腕のビームソードを上に向け、撃ち出す。
エクス「それくらい…俺にだってできる!」
同じく左腕のビームブレードを撃ち出す。
それらは互いに相殺され、白い閃光が走る。
ライト「くそ…やるじゃねえか!」
上を見上げるが、クワガタの姿はない。
龍祐「ライトニング、後ろ!」
ライト「!?」
緊急で前ステップを取ったお陰で、背中に浅い傷と両型のブースターのフィンが吹っ飛んだ程度。
振り返り左から碧の閃光を放つ。
エクス「ムダァ!」
左ステップ、回避。

 

 

そのころカブト同士の対決。
ウイング「オラオラオラオラ!!」
右腕のライフルを撃ちまくる。
両腕を交差して受け止めるが、このままでは機能停止に持っていかれる。
流「ファイア、火炎弾だ!」
ファイア「おう!」
状況の打開、逆転をかけて頭の角から炎に包まれたミサイルが撃ち出される。
リオンS「避けろ…いや、撃ち落せ!」
ウイング「了解!」
左腕を上げてマシンガンとしての能力を疑う使い方――たった2発で両方の火炎弾を空中爆破させる。
リオンS「エアーブースター全開!突っ込め!」
爆煙の下を地を擦るほどの低さで飛びぬけ、モードチェンジした右腕…
リフレクトナックルをファイアの目前で止める。
ウイング「俺の勝ちぃ〜」
陽気な声を出して、腕を下げる。
ファイアが、びっくりおっかなで力が抜けて尻を地に付けた。


再び戻って。
エクス「ウラァ!」
オウギーを上向きに振るい、ライトニングの上の角に傷をつける。
ライト「オラァ!」
ビームソードを横に振る。エクスは後ろに飛び回避。
ライト「そこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
外れると同時に、アペンディスターを発射する。
エクス「しまった!」
チャージに気付かなかったことを後悔しながら両腕をクロスさせて攻撃を受ける。
当然、両腕機能停止。
両腕パーツ、100%、頭部ダメージ54%、脚部ダメージ23%
メダロッチの報告。電子音を聞き…

ハヤト「どうすれば…」
呟く。しかし答えを教えてくれるものは誰もいない。
いったん間合いを取ろうとエクスが飛びのくがそれをライトが逃がさず、両腕の銃器でトドメに掛かる。
エクス「くそ…」
横に走る。その先にレーザーが走り、行く手を塞がれる。
悪態をついて続けて放たれた散弾を最低限のジャンプで回避。

ハヤト「打つ手が無い…」
エクスが回避で粘っているがそれも時間の問題である。
攻撃手段の両腕がやられては打つ手が無い。
が…
ハヤト「メダフォース…いや、まだ無理だ…」
エクスがなんとか回避に回避を重ねて粘っている。が。
考えてる時間は、残り僅かか。
ハヤト「でも…あの時腹部にあったのが”アレ”だとしたら…」
メダロッチに目を落とす。
ディスプレイを操作。損傷率表示から、機能表示に切り替える。
それを見、相変わらず無表情のままメダロッチに叫ぶ。
―――対射撃トラップ!
返事を返さず…いや、行動を持って返事をする。
腹部の青い部分が真ん中から上下に分かれ、半円状のものが転がり出る。
プラズマが走り、壁が出来るがその向こうに影が出来る。
龍祐「さっつじーん!」
ライト「タックル!」
龍祐の間の抜けた声とライトの鋭い声が響き、対射トラップの壁が破られその運動エネルギーを乗せたタックルを正面から受ける。
二転三転、部室の壁にぶつかり目を回してエクスカリバー、機能停止。
はぁ、と溜め息をついてハヤトがメダロッチを下ろす。
ハヤト「読まれてたか…」
そうでなければ、射撃を続けていたはず。
変にイタチゴッコなんかしてはブースターがついてるとは言え重量級のヘラクレスKBTと純粋に機動力を求めたKWGでは差がありすぎる。
しかし、逃げる側の動きが止まったなら話は別。
動かない的ほど当てやすい物は無いのである。
ライト「ちょっと今回は疲れたな…」
気の抜けたことを言うが、その瞳は真剣其のもの。
龍祐「まあ、勝ったんだから。」
メダロッチを構えたまま、返す。
ライト「そうだな。」
言い終わるか終わらないうちにライトの足元に数発の弾丸が食い込み硝煙を上げる。
ウイング「まだ俺が残ってるけどやるか?」
その言葉を聞くと、嬉しそうに目を和らげた。
ライト「望むところ!」
気を抜いてなかった理由は此れ。
だが…
リオン「残念だけど…」
ウイングの後ろに歩み寄る。
龍祐「タイムアップなんだよね。」
同じくライトニングの後ろに歩み寄る。
リオン「終わり!行くぞ!」
ウイングの角を持ち、上に持ち上げ、連れて行く。
ウイング「まだ終わってないの!」
もがくがあっけなく連れて行かれる。
ライト「放せぇ〜」
龍祐「ほら、行くよ!」
重いから持ち上げられないので、ずるずると引きずられていく。

 

ハヤト「みんな強いな。」
3人の前で正直な感想を漏らす。
龍祐「そうでもないですよぉ。」
照れながら、首の後ろをさする。
リオン「だが、今部員4人だろ?」
唐突に話題を切り替える。
ハヤト「ああ、そうだが。」
頷き、ぐるりと見まわす。
何度数えてもやっぱり自分を合わせて4人。増えたら良いが世の中そんなに便利ではない。

リオン「やっぱりメダ甲子園出るんだろ?」
ハヤト「そうだが…」
最終目標の一つではあるが、ずいぶんと遠く感じる。

リオン「部員6〜10人の間だろ?参加登録って。」
ハヤト「そこが問題なんだよ。まぁ、なるようになるさ。」
正直、行けるとは思ってない。そんな感じである。

龍祐「そんな無計画で大丈夫かなぁ。」
ハヤト「もしものときは誘拐して来れば良い。亀山小みたいに。」
冗談交じりに返す。亀山小についてはメダロッターりんたろう参照。
流「…俺の出番がないよ。」
すっかり影が薄くなっていたのを危惧して発言してみる。
ハヤト「うわぁ!いたのか!」
妙にオーバーリアクション。
流「酷い…」
すでに半泣き状態。それでも主人公だったのか?
流「お前が第3話を作らないのがいけないんだろうが!」
もう作った。時効だ時効。
流「だぁぁぁぁ!こんちくしょー訴えてやる!!」
もはやゴジ○の様に暴れ出す。誰も手がつけられない。
ハヤト「しかたない…残っているメダロットと共にあいつを止めるぞ!」
全員で飛びかかる。
よくこんなのと一緒にいられたな、ファイア。

果たして、無事に彼らは帰れるのだろうか?


次回予告

ハヤト「いや〜大変だった。」
エクス「どうしたんだ?その顔の傷は。」
ハヤト「流の奴が空に向かって叫んだあと突然暴れ出して。」
エクス「ふうん。そんなことがあったのか。」
ハヤト「さて来週の白きクワガタは「幼馴染、そしてライバル!?」だ。絶対見てくれよな!それじゃ、ジャンケンポン!じゃなくって…」
エクス「ロボトルファイト!」


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