のんびりと待っていた。試合開始の時間を。

メダロッチを見るとまだ試合開始まで2時間はある。

ちょっと回りのコンビニにいくことにした。


白きクワガタの伝説  メモリー11  裏切り者の汚名  


自動ドアの前に立つ。人が来た事を感知し、左右に開くガラスのドア。

リオンS「なにかいいものはないかなっと。」

さっそくメダロットのコーナーにいって売っている商品を見る。

…あまり良いものがない。

心の中で呟いた。人気機種のKBTやKWGはともかく。STGやKLNすら売っていない。

不意になにかの気配を察した。

そして、彼は客の少ないコンビニを後にした。

 

人通りの少ない、ビルの裏まで歩き、止まった。

リオンS「…赤きサソリが俺に何のようだ。」

いつもの明るい雰囲気とは違いダークな雰囲気。

戦闘員A「ふん、気付いていたか。」

戦闘員B「我々に気付くとはな。」

完全に気配を消していた。常人なら、見えないほどに。

リオンS「ふん…さしずめ、俺の抹殺か?あの程度のデータを知ったぐらいで。」

ふっと微笑する。

戦闘員B「ならば話は早い。ロボ…」

言いかけた時、リオンSがポケットからメダルを一枚、取り出す。

リオンS「さて、いくぜ…」

コイントスの様にメダルを回転させながら上に弾く。

ちょうどゴーグルの前まで来たあたりで呟く。

リオンS「…”ヴァルレル”転送!」

ゴーグルのレンズが光り、メダルを光が包む。

光が消えた。

戦闘員がそう思った瞬間、彼らのメダロットは胸部からオイルを噴出し、倒れた。

そして見た。ビルとビルの間からさした光りに照らされた”悪魔”の姿を。

 

 

リオンS「わりぃわりぃ、ちょっと道が込んでて。」

ハヤト「よし、4回戦だ。行くぞ!」

全員『おう!』

ちらっと、観客席をリオンSは見た。そしてため息をつき、仲間のほうをむいた。

リオンS「…わりぃ、用事思い出した。流、代わりに出てくれ!」

ウイングのメダロッチを投げて渡す。

ウイング「ええっ!?」

流「をい!」

 

 

「よくもまぁ、来たもので。」

冷徹に微笑む、顔色の白い、赤のTシャツに白と緑のシマズボンに身を包んだ少年。年はリオンSと同じぐらいといったところか。

リオンS「お前らのやろうとしてる事を阻止するためにな。」

「いいますねぇ。レッドスコーピオンNo、1のこの僕に勝とうとするなんて。…ヴィオス転送。」

メダロッチを構え、機体を転送する。紅でカラーリングされ、右手に盾、左手に槍を持った龍騎士。

リオンS「ハッ、くだらねぇな。」

メダルをポケットから取り出し、”悪魔”を召喚する。

ヴァルレル「…俺らが勝ったら今日は引き上げるんだな。」

背中には悪魔の翼、手には槍、全身を血のような赤と黒でカラーリングされ、ルビーのような、赤い瞳を持つ”悪魔”。

「いいでしょう、ヨハネス、そしてヴァルレル。ただし、あの頃の私とは違いますよ。」

白顔の少年の背中が紅く燃える。まるでサソリのように。その光が龍騎士を包む。

リオンS…いや、ここではヨハネスと呼ばせてもらおう。

ヨハネス「オーバードライブシンクロ…変な技覚えやがって…」

ヨハネスの背中が蒼く燃える。逆さのサソリを描き。同じく、その光がヴァルレルを包む。

「ヨハネス、あなただってそうじゃないですか。では…行きますよ!」

横から戦闘員が3人、メダロットとともによってきた。

…ロボトルファイト。

ヴァルレルが天を駆ける。

すれ違い様に雑魚の3体を機能停止にし、龍騎士に向かって駆ける。

―キィィィィィン!―

二つの槍がぶつかりあい、気持ちの良い音を奏でる。

一旦距離を取り、しばし緊張が走る。

先に動いたのは…ヴァルレル。

槍を振り上げ、ヴィオスに向かって振り下ろす。

それを盾で受け止め、槍を突き出す。首を逸らしてそれをかわす。

ヴァルレル「残念だけど俺は悪魔なんでね!」

さらに力を入れ、盾を真っ二つにしする。

そのまま頭部を真っ二つに…

…しない。

ヴィオス「なぜ攻撃しない。」

普通なら斬る筈なのに。

ヴァルレル「テメェ倒したら、そいつまでやばいからな。」

目で後ろにいる彼のマスターを指す。

ヴィオス「自分は悪魔だとお前が言ったのであろう。」

ヴァルレル「悪魔だろうが嫌なもんは嫌なんだ。」

槍を引き、再びゴーグルの中に戻る。

「この借りは…必ず返しますよ、裏切り者、ヨハネス!」

メダロットを回収し、振り向き様に言った。

ヨハネス「好きにしろ。ただし…この大会だけは邪魔はさせない。…クルオス。」

奇しくも、同じ組織の者であった二人の戦いは再び始まろうとしていた。

 

会場に戻ると、歓声が沸き起こっていた。どうやら試合が終わったらしい。

解説者「花園3中、強い!二年生だけで、たった一人の控えで、準決勝進出だぁ〜!」

リオンS「おし、勝ったな。次は…一中か。」

時計を見た後、選手控え室に歩いていく。

 

龍祐「あ。」

リオンS「うっす。」

龍祐「何処行ってたんですか?試合終わっちゃいましたよ?!」

リオンS「悪いなぁ。んじゃ、次は活躍するから任しといてくれ!」

ハヤト「残念だがそれは無理だ。」

リオンS「何故にホワイ!?」

ハヤト「次は…俺の出番だからだ。」

静かな闘志が伝わってくるのが分かる…純。

流「うっし、今日は帰ろうぜ!」

紺色のバックを肩にかける。

ライト「今日の敵も弱かったな。」

言うなぁ、オイ。

ウイング「ま、俺達が強いだけだ。」

エクス「そうだな。」

同意かよ。

ファイア「おいおい…こんなんで大丈夫かよ…」

もしかしたらこいつが一番まともなのかも。

ハヤト「撤収だ!」

全『おうよ!』

 

――白きクワガタと若き猛虎は再びその牙を交える事となった。以前の戦いからちょうど三ヶ月後のこの時に…


次回予告

ハヤト「とうとう準決勝、これに勝ち、次も勝てば甲子園だ。しかし、そんな事はどうでもいい。俺は…決着をつける、力を貸してくれエクスカリバー!次回白きクワガタの伝説『再戦、両牙の交わるとき。』また来週!」


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