のんびりと待っていた。試合開始の時間を。
メダロッチを見るとまだ試合開始まで2時間はある。
ちょっと回りのコンビニにいくことにした。
リオンS「なにかいいものはないかなっと。」
さっそくメダロットのコーナーにいって売っている商品を見る。
…あまり良いものがない。
心の中で呟いた。人気機種のKBTやKWGはともかく。STGやKLNすら売っていない。
不意になにかの気配を察した。
そして、彼は客の少ないコンビニを後にした。
人通りの少ない、ビルの裏まで歩き、止まった。
リオンS「…赤きサソリが俺に何のようだ。」
いつもの明るい雰囲気とは違いダークな雰囲気。
戦闘員A「ふん、気付いていたか。」
戦闘員B「我々に気付くとはな。」
完全に気配を消していた。常人なら、見えないほどに。
リオンS「ふん…さしずめ、俺の抹殺か?あの程度のデータを知ったぐらいで。」
ふっと微笑する。
戦闘員B「ならば話は早い。ロボ…」
言いかけた時、リオンSがポケットからメダルを一枚、取り出す。
リオンS「さて、いくぜ…」
コイントスの様にメダルを回転させながら上に弾く。
ちょうどゴーグルの前まで来たあたりで呟く。
リオンS「…”ヴァルレル”転送!」
ゴーグルのレンズが光り、メダルを光が包む。
光が消えた。
戦闘員がそう思った瞬間、彼らのメダロットは胸部からオイルを噴出し、倒れた。
そして見た。ビルとビルの間からさした光りに照らされた”悪魔”の姿を。
リオンS「わりぃわりぃ、ちょっと道が込んでて。」
ハヤト「よし、4回戦だ。行くぞ!」
全員『おう!』
ちらっと、観客席をリオンSは見た。そしてため息をつき、仲間のほうをむいた。
リオンS「…わりぃ、用事思い出した。流、代わりに出てくれ!」
ウイングのメダロッチを投げて渡す。
ウイング「ええっ!?」
流「をい!」
「よくもまぁ、来たもので。」
冷徹に微笑む、顔色の白い、赤のTシャツに白と緑のシマズボンに身を包んだ少年。年はリオンSと同じぐらいといったところか。
リオンS「お前らのやろうとしてる事を阻止するためにな。」
「いいますねぇ。レッドスコーピオンNo、1のこの僕に勝とうとするなんて。…ヴィオス転送。」
メダロッチを構え、機体を転送する。紅でカラーリングされ、右手に盾、左手に槍を持った龍騎士。
リオンS「ハッ、くだらねぇな。」
メダルをポケットから取り出し、”悪魔”を召喚する。
ヴァルレル「…俺らが勝ったら今日は引き上げるんだな。」
背中には悪魔の翼、手には槍、全身を血のような赤と黒でカラーリングされ、ルビーのような、赤い瞳を持つ”悪魔”。
「いいでしょう、ヨハネス、そしてヴァルレル。ただし、あの頃の私とは違いますよ。」
白顔の少年の背中が紅く燃える。まるでサソリのように。その光が龍騎士を包む。
リオンS…いや、ここではヨハネスと呼ばせてもらおう。
ヨハネス「オーバードライブシンクロ…変な技覚えやがって…」
ヨハネスの背中が蒼く燃える。逆さのサソリを描き。同じく、その光がヴァルレルを包む。
「ヨハネス、あなただってそうじゃないですか。では…行きますよ!」
横から戦闘員が3人、メダロットとともによってきた。
…ロボトルファイト。
ヴァルレルが天を駆ける。
すれ違い様に雑魚の3体を機能停止にし、龍騎士に向かって駆ける。
―キィィィィィン!―
二つの槍がぶつかりあい、気持ちの良い音を奏でる。
一旦距離を取り、しばし緊張が走る。
先に動いたのは…ヴァルレル。
槍を振り上げ、ヴィオスに向かって振り下ろす。
それを盾で受け止め、槍を突き出す。首を逸らしてそれをかわす。
ヴァルレル「残念だけど俺は悪魔なんでね!」
さらに力を入れ、盾を真っ二つにしする。
そのまま頭部を真っ二つに…
…しない。
ヴィオス「なぜ攻撃しない。」
普通なら斬る筈なのに。
ヴァルレル「テメェ倒したら、そいつまでやばいからな。」
目で後ろにいる彼のマスターを指す。
ヴィオス「自分は悪魔だとお前が言ったのであろう。」
ヴァルレル「悪魔だろうが嫌なもんは嫌なんだ。」
槍を引き、再びゴーグルの中に戻る。
「この借りは…必ず返しますよ、裏切り者、ヨハネス!」
メダロットを回収し、振り向き様に言った。
ヨハネス「好きにしろ。ただし…この大会だけは邪魔はさせない。…クルオス。」
奇しくも、同じ組織の者であった二人の戦いは再び始まろうとしていた。
会場に戻ると、歓声が沸き起こっていた。どうやら試合が終わったらしい。
解説者「花園3中、強い!二年生だけで、たった一人の控えで、準決勝進出だぁ〜!」
リオンS「おし、勝ったな。次は…一中か。」
時計を見た後、選手控え室に歩いていく。
龍祐「あ。」
リオンS「うっす。」
龍祐「何処行ってたんですか?試合終わっちゃいましたよ?!」
リオンS「悪いなぁ。んじゃ、次は活躍するから任しといてくれ!」
ハヤト「残念だがそれは無理だ。」
リオンS「何故にホワイ!?」
ハヤト「次は…俺の出番だからだ。」
静かな闘志が伝わってくるのが分かる…純。
流「うっし、今日は帰ろうぜ!」
紺色のバックを肩にかける。
ライト「今日の敵も弱かったな。」
言うなぁ、オイ。
ウイング「ま、俺達が強いだけだ。」
エクス「そうだな。」
同意かよ。
ファイア「おいおい…こんなんで大丈夫かよ…」
もしかしたらこいつが一番まともなのかも。
ハヤト「撤収だ!」
全『おうよ!』
――白きクワガタと若き猛虎は再びその牙を交える事となった。以前の戦いからちょうど三ヶ月後のこの時に…
ハヤト「とうとう準決勝、これに勝ち、次も勝てば甲子園だ。しかし、そんな事はどうでもいい。俺は…決着をつける、力を貸してくれエクスカリバー!次回白きクワガタの伝説『再戦、両牙の交わるとき。』また来週!」