「そこのお二人さん、ちょっと良いかしら?」

下校途中のリオンと瑠璃に話しかける女性がいた。

長い水色の髪とうすい緑色の服が印象的だった。


翼のメダロット 第4話  水色の髪


リオン「はい?」

呼びかけに答え、二人とも振りかえる。

「私とロボトルしない?神龍リオン君。」

左腕のメダロッチを見せる。一つではなく、二つのメダロッチ。

リオン「…おうさぁ!」

両腕をクロスさせて構える。右腕に白、左腕に黒!

瑠璃「ちょっとリオン!すこしは怪しいとは思わないの?自分の名前知ってる人がいて!」

肩を掴み、止めようとする。しかし、聞く耳持たず。リオンの瞳は闘気に満ちている。やや興奮気味。

リオン「怪しんだところで何か分かるわけでもあるまい。…来い、リュー、ウイング!」

構えたメダロッチの電光板が輝く。

光が放たれ、リオンのすぐ前に並んで現れる2体。

ウイング「な?だからそろそろ来そうな気がするって言ったんだ。」

すぐ隣に立つリューの方を見て言う。

リュー「仕方ない…やるか。」

目を瞑り、両腕の武器を構える。

「へぇ、KBTとKWGね。そんじゃ、フェイク、トルース転送。」

左腕につけた二つのメダロッチが輝く。

転送される、白と黒対照的なカラーリングのメダロット。

黒は大きな鎌を持ち、白は腕にフォーバイスにも似たナイフを装備している。

瑠璃「嘘と真実…ずいぶんと対極を成す名前ね。」

ちらとメダロッチを見る。今は3時12分。周りに同じ学校の生徒たちも見うけられる。

リオン「ま、いいんじゃねーの。…っていうかレフェリーはこないの?」

何気なく上を見る。上空から降ってくる何か!

そのまま二人の間に着地!

何か「このロボトルは公式ロボトルと認定されました!私の名前はMr.セロリです。以後お見知りおきを。えっと…お二人名前は?」

リオン「神龍リオン。」

水髪「あー、パレット。」

セロリ「はい、リオンさんとパレットさんですね。それではぁ…」

右腕を高く上げる。構えなおす4体と2人。ちなみにリーダー機はリオン側がリュー。パレット側がフェイク。

セロリ「ロボトルファイト!

リューとトルースがほぼ同じタイミングで駆け出す!

アスファルトを蹴り、間合いを縮め、フォーバイスを繰り出すリュー。

それを右腕のナイフで受けとめ、カウンターで左腕のナイフで切り込む。

切りこもうとしたナイフをインテスビートで弾く。

リオン「距離を取れ!」

指示に従い、バックステップを取るリュー。

チャンスと見切って地面を蹴り、リューに向かって飛ぶトルース。

トルース「もらったぁ!」

左腕のナイフをリューの腹部に向かって突き出す。しかし、リューは一向に驚いたような様子は見せない。

リュー「甘いな。」

見透かしたような、声。

ナイフの先がリューに当たるか否かそれほどまでの瞬間にトルースが吹き飛んだ。

パレット「トルース!」

倒れたトルースの各部に、黒い斑点が出来ている。それが銃弾が当たって出来たものだと気付くのにそんなに時間は要らなかった。

ウイング「…外したか。」

すぐさま次のターゲットに切りかえる。リーダー機でもあるフェイクに。

 

ウイング「うおおおお!」

フェイクに向かってブラスター連射。

フェイク「……………。」

フェイクの周りに線が四角を描く。一瞬ひかり、そこから姿を消すフェイク。

ウイング「ええっ!?」

突然の事に銃撃を止める。

リオン「止まるな!前ステップ!」

足の先をコンクリートの割れ目に引っ掛け思いっきり前へ飛ぶ。着地したところを踵のタイヤのグリップを使い反転。そこには鎌を振り下ろしたフェイクがいた。

すぐさまヒューザーで速射。しかし、数発当たった程度でまた消えるフェイク。

ウイング「次はどこだ!」

リオン「上!」

上空に向かってブラスター連射。

リオン「右によけろ!」

地を蹴り右にステップ。紅い刃が先ほどまでウイングがいたところを通り過ぎる。

ウイング「反則だろアレ!」

またすぐ消えるフェイク。

セロリ「いいえ、ロボトル協会によって公認されていますので反則ではありません。」

ウイング「いや…そういうつもりで言ったわけでは…」

飽きれて動きを止める。

リオン「馬鹿!止まるな!前!」

ウイング「へっ!?」

目の前に現れるフェイク。気を緩めてたその瞬間に現れたのだ。

紅い瞳が、ウイングを見下ろす。

振り下ろされた真紅の刃がウイングに襲いかかる。

瑠璃がそれを見かねて目を覆う。

しかし、ウイングの瞳は緑に輝いている。諦めてはいない。

ウイング「…ぬぉぉぉぉ!」

僅かに身をかがめる。刃が後頭部を掠める。

ウイング「ディスト―ションナッコォォォ!」

腹部と思われるところに、右の拳で一撃!

しかし勢いを失っていない鎌の柄が頭の角の根元に当たり首が少し曲がる。

リオン「ウイング、追撃だ!」

すぐさまブラスター連射。今度は…消えない!

銃弾が覆っていたローブに当たる。所々穴が開いていくローブ。

しかし、また消えてしまう。

 

ウイング「くそう…」

後ろに下がるが背中に何かぶつかる。

リュー。

リュー「どうした、代わってやろうか?」

フォーバイスを構えなおす。

ウイング「いいねぇ。」

ヒューザーを再び構えなおす。

リオン「ウイング、前だ!」

目の前に、死神が現れる。同じく、リューに向かって白騎士が飛びかかる。

ウ&リュ『おおおおお!』

互いに地を蹴り、背中を合わせたまま反転。

カブトムシの銃弾が白騎士の身体に突き刺さる。

クワガタの刃が死神のローブを切り裂く。

リオン「いっけぇぇぇ!」

ウ&リュ『ディストーション…』

拳を構え、相手に向かって飛びかかる。

鎌が、リューの右の角を切り裂く。

刃がウイングの左の頬をざっくりと切り裂く。

リュー「ブレード!」

ウイング「ナッコォォ!」

必殺の一撃が、相手の腹部に決まる。

吹き飛ぶ二体。…機能停止。

レフェリー「パレットチーム、リーダー機機能停止!勝者、リオンチーム!」

レフェリーが興奮気味に勝者を宣言する。

リオン「あぶねぇ。」

メダロッチを見る、両方とも各部へのダメージが大きい。

ウイング「あー、頭がくらくらする。」

右手を頭を押さえながらふらふらと歩いている。

リュー「人の技をパクるからだ。」

そんなウイングを横目でみながら呆れた様に返す。

メダロッチを操作し、光に包まれメダロッチに戻る二人。

リオン「おつかれさん。」

目を前に向ける。水色の髪の女性に戻す。

パレット「あっちゃあ、負けちゃったか。私のメダロットのパーツは上げられないからこれあげる。」

手渡しでもらったパーツ…シャリーン。

リオン「…………。」

明らかに嫌そうな顔をして、そのパーツを見るリオン。

瑠璃「…今の消え方すごかったね。」

リオン「へっ!?」

あたりを見れば、先ほどの二人はいなくなっている。

リオン「どんな消え方だったの?!」

瑠璃「教えてあげなーい。」

笑いながら走って逃げる瑠璃。

リオン「あ、まてー!」

それを追って走るリオン。

日常はそれでよかった。しかし、それも変わって行く。

変わって行く日常。何かを賭けて戦うという事の意味を少年はやがて知る事になる。


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