翼のメダロット 第三話 ロボロボボロ


「アレじゃ手が出ねえよ!」

弾が届かない高さの所からの攻撃を必死で回避しながらウイングが叫ぶ。そう、全員歩行メダロットだということをつかれて、弾が届かないほどの高さまで飛行メダロットを飛行させたのだ。

ウイング「うを!っと、あんま痛くないな…」

ウイングに弾当たる。メダロッチの表示ではわずか3%しか受けていない。

とても旧式とは思えない硬さ。誰かが特別に改造したのだろうか?しかし、今はそんなこと考えているひまはない。

リオン「なにか手を打たないと…そうだ!」

あまりの名案過ぎて、指を鳴らす。これが漫画なら電球が出ているところだ。

リオン「瑠璃、ウイングに向かってデスミサイルを撃たせてくれ。」

瑠璃「なんだか分からないけど、あんたの事だからきっと秘策があるんでしょ。ブラスト、デスミサイル、ターゲット、ウイング!」

ブラストに指示を出す。真剣な横顔もナイスだなとか思ったが今はそんな事はどうでも良い。

リオン「ウイング、今からブラストがそっちに向かってミサイル撃つから爆破させて上に飛べ、全部爆破させるなよ。数回爆破させてなんとか同じ高さまで持ちこめ!」

ウイング「よしわかった。リュー下がってろよ。」

三歩ほどバックステップで下がるリュー。

ブラストの右腕から多数のミサイルが放たれる。

一瞬でも遅れれば機能停止か…そんな考えがウイングの頭の中をよぎる。

リオン「ウイング、撃て!」

両腕を前に持っていき、銃口から弾を乱射、ミサイルの多数を爆発させ、その爆風で上に飛ぶ。

元々デスミサイルの威力が高かったためウイングが紙の様に舞う。

ミサイルが真下まで来ると同じに撃ち、爆破させさらに上昇。

敵からの攻撃を身体を傾けて避けていく。

最後のミサイルを爆発させると目をつむり、右腕を左に、左腕を右にむけ、腕をクロスさせる。

目を開く、左右にそして後ろに敵がいるのが分かる。経験した事は無いのにやった事がある。そんな感覚に襲われる時がある。今、このときも。

ヒューザー、ブラスターから一発。腰の間接部に突き刺さり地面に落ちていく。そして反応弾を両の角から発射。二発とも脚部に命中し機能停止させ、同じく落ちていく。 

 

上から落ちてくる3号機。アンテナでその動きをキャッチし、飛びかかる。頭部にインテスビートを一撃。

機能停止した3号機を踏み台にして、さらに2号機に向かって飛ぶ。フォーバイスを出し、腕を下に向ける。リューの剣技の特性からナイフの刃の上下を逆に取り付けてある。下からしゃくりあげる様にして振り抜き、一閃。

ウイング「ブラストォォォォ!」

自分の記憶の中にわずかに残っている姿。かつて最強の敵であったその姿。

ブラスト「おおおおおお!」

デスレーザーを発射、1号機の両腕を吹き飛ばし、そのまま貫通して頭部を破壊。機能停止させる。

ウイング「…って、おおおおお!?」

上から降ってくるウイング。って言うかこのままじゃ地面に当たる。

……

どぉぉぉぉぉぉぉん。

落ちた衝撃で砂煙が舞う。一瞬視界が途絶えたが、強く風が吹き砂埃が払われる。

ウイング「うおー、抜けねぇ!助けてぃ!」

地面に角が突き刺さり、もがいている。思ったほどたいした事はないようだ。

走ってウイングのところに向かうリオン。

リオン「よくやったぞ、ウイング、リュー。」

両足を掴み、ウイングを抜きつつ言う。

ウイング「ま、俺だからできたんだがな。」

逆さの状態のまま言うウイング。

リュー「一時はどうなる事と思ったよ。」

ちょうどすぐそばに着地するリュー。

それぞれコメントをもらす。とにかく勝った事には変わりがない。

恭治「お前等、強えな。また今度ロボトルしようぜ!じゃ!」

いつの間にそばに来ていたのか、肩を叩き、コメントを残していった。

その後、表彰式にも出ないでさっさと帰っていってしまったらしい。きっと愛機の修理があるのだろう。

 

 

「それでは表彰式をはじめます!さて、校内ロボトル大会で優勝したチームは…1−2代表、瑠璃、リオンチームだぁぁ!」

歓声と拍手が起こり表彰台の上に立つ。

リオン「俺の作戦勝ちだな。」

観衆には聞こえないようにぼそりと呟く。

瑠璃「ブラストの援護のおかげよ。」

肘鉄砲しながら返す。

ふと、気になる事があったのでそうだなと相ずちを打ち、校舎のほうに目をやる。

ロボロボ団らしき人物がいたのでちょっといってくるといい、その場を後にする。

 

校舎内

ロボA「オヒョヒョヒョ、これで学校はロボロボ団の物ロボ!」

薄い緑色の全身タイツに身を包み、金魚蜂をかぶった謎の集団。

「どうやって?」

後ろからの声、しかし普通に気付いていない。

ロボB「このソージキンで、校長を確保するロボ!」

見るからに怪しい掃除機型のメカ。ずいぶん型が古く重そう。

「そうか、斬れ。リュー。」

飽きれたような声で指示を送る。

リュー「御意。」

フォーバイスを振り上げ、ソージキン(仮)を真っ二つにするリュー。

ロボB「アー!何するロボ!」

ロボA「どーしてくれるロボ!」

思いっきり慌てるロボロボ団。

リオン「さあな。」

呆れた様な声を返しメダロッチを構える。一瞬怯むロボロボ団。

ロボB「お、おぼえてろ〜。お前の一番大切なもの奪ってやるロボ!」

お決まりの捨て台詞を残し、逃げ出す。

リオン「リュー。意味がわかるか?」

メダロッチを構えてた腕を下ろす。

リュー「拙者には無理。」

顔の前で手を左右に振る。

リオン「そうか。」

メダロッチを下ろしながら、返した。

 

少し離れたところ。

ロボA「やられましたロボ〜。」

ロボB「コテンパンロボ!」

そこまでやられてないよ、あんた。

幹部「あんな低脳な事をするからよ。少しは頭を使いなさい。…で、どんな奴にやられたんの?」

水色の髪の女の人。どうやら彼らの上司らしい。

ロボB「花三の生徒ロボ!見た感じ一年生だったロボ!男ロボ!」

幹部「男か…彼女の一人や二人いてもおかしくないわね。」

顎に手を当てる。

ロボA「二人いたら二股ロボ。」

そう言ったとたん頭の上から水が降ってきた。バケツも一緒に。

幹部「とにかく…そいつの周辺を調査しなさい!いい?」

ロボA&B「イエッサー!」 

敬礼をする一般兵。

 

 

ウイング「んで、結局何しに行ったんだ?」

もう日の沈みかけた夕暮れ。伸びる五つの影。

リオン「ああ、ロボロボ団がいたからちょっと見てきただけ。」

瑠璃「ふぅ〜ん。」

大して興味なさそうに返す。

リオン「そしたら変な掃除機みたいなの使って校長をさらうとか言ってたから飽きれてそれを壊したら泣いて逃げてった。」

リュー「そうそう。」

リューも相づちを撃つ。

何気に時計を見る。そして、驚愕。もうすぐ週間メダロットが始まる時間である。

リオン「わりい!もうすぐ週間メダロットが始まってしまう!俺は帰るから!」

一人走って帰るリオン。

ウ&リュ『じゃ!』

その後を追って走る二体。

瑠璃「元気ね…私も走ろうかな?いくよ、ブラスト。」

ブラスト「はい〜〜〜。」

間の抜けた返事をするブラスト。

そしてリオンを追って走り始める瑠璃。

夕暮れの中で、はっきりとその光景だけが映し出されていた。


続く