リウ「あ〜っと、今日のサイトは…っと。」

暇そうに目の前の棚に入れてあった日刊誌Today’s MEDAROTを取り出す。とはいっても何日も前のもので最新のものではない。

テムジン「本なんか読んでていいのか?」

カプセルの中に入ったKBT型を覗き込む。

まだ装甲が一部しか出来ておらず、内部の機構が見えている。

リウ「ああ。処理は正常だからね。それに、二重機構をつんだKBTなんて他にないからね。自分で作らなきゃらないし。」

二重機構とは、技術の進歩によって小型化した内部機構。専用のティンペットに装備して使う。

小型化した分、従来のパーツままだとスペースが出来てしまうため、その小型化したものをもう一個つめ込んで2つ機能を持たせようと言うもの。

メインの能力に、少しのギミックで補助の能力に切り替われるようになっているある意味万能的な能力。

しかし、それでは熟練度にばらつきが出て、どっちつかずという状況になりやすいためほとんど使うメダロッタ−はいない。

使うとすれば、初心者か、よっぽどの熟練者である。因みにこのルールは2100年に改訂された

だったら現存のKBTを改良すればいいだろう。と思う人もいるだろうがそうは問屋が下ろさないのである。

元々、軽量化などをするには装甲表面のナノマシンに特殊な処理をしてナノマシンを殺し、そこを削り取るのである。そうでないと軽量化してもナノマシンの再生能力で削った部分が再生してしまうのである。

今のKBTにそれをやると膨大な労力と時間がかかるため、最初から作ったほうが早いのである。

リウ「ハックの方はダミープログラムを置いといたから大丈夫だし。」

週刊誌の次のページをめくる。

テムジン「ダミー?」

相変わらず中のKBTから目を離さない。

リウ「そう。そのバンビーはリフレクトシールドが二重機構として搭載されてるけどダミーの方だとワイヤーを装備させてるんだ。それでロケットパーンチ!みたいな感じで。」

テムジン「ロケットパーンチ!ってねぇ…」



翼のメダロット 第10話 一欠片の希望


 

 

―公園―

昼下がりの午後。公園内でロボトルをしている彼ら。

リオン「ブラスター!」

ウイング「あいよ!」

左腕を前に持っていき、弾を放つ。

真っ直ぐに突っ込んできたノリスのあるまーの頭部に見事に当たる。

弾を受けて仰け反ったところに更に追い討ちとしてリクガンフレアを受け、大きく後ろに吹き飛ぶ。

そこから更に止めの反応弾。頭部にあたり、爆発する。

コンクリートに叩きつけられ、あるまー、機能停止。

リオン「俺の勝ち!」

しゃあ!と叫びガッツポーズをとる。

ウイング「ふぅ…」

額をぬぐうような動作をするウイング。メダロットは汗が出ないのだが。

ノリス「なんかいきなり強くなったな。お前ら。」

あるまーのメダルをメダロッチにはめる。

空からは梅雨を越えて、暑い日差しがさしてくる。

ウイング「ああ、その秘密についてちょっと話してやる。」

大きな木の木陰にあるベンチに3人で並んで腰掛ける。

ノリス「で?」

あまりの暑さにだんだんジュースが恋しくなってきたが、ウイングの話を聞こうと思った。

ウイング「リオンは知ってるだろうけどこの間覚醒したんだな、俺。」

リオン「そうだったなぁ。」

暑さのせいか、目が泳いでいる。

ウイング「で、俺はリオンに会う以前に変な研究所で今までのメダロットの戦闘データ詰め込まれたわけよ。でも、それは俺に全ては使えるものとして入ってこなかったわけ。なんていうかな…砂時計に石を詰めても通らないだろ?そんな感じ。」

ノリス「なるほど…」

木陰といえどもやはり暑く、額に汗がたれてくる。

ウイング「そこで!覚醒によってその砂時計に入れられた石は粉々に砕かれて、砂時計を通って俺にほとんど吸収されたってわけよ!」

ノリス「それって凄いのか?」

話などどうでも良くなってきて、ジュースを買うためにポケットの中を漁り小銭を捜す。

ウイング「凄いも何も、それによって熟練度とかも急激アップ!みたいな感じで、一つの動作でどれがどうなるとか色々考えられるようになったわけ。」

ノリス「ふーん。」

ベンチから立ちあがり、公園の外にある自動販売機に向かって走っていく。

リオン「あ、そういえばリウって人が呼んでるんだったっけなぁ…」

メダロッチを時計モードに切り替え、時間を確認する。

ウイング「リューはどこ行った?」

公園の外に出ていったノリスを目で追いながら、となりにいるリオンに尋ねる。

リオン「知るか。もう少ししたら行くぞ。」

ウイング「おう。」

 

 

―7話に出てきたビル―

何やら色々と話しがあるという事で、リューとウイングを連れ、ここにやってきた。

ビルの前で、テムジンが待っていてリウのとこまで案内される。

リウ「ああ、ご苦労さん。テムジン。」

読んでいた雑誌を置き、ソファーに3人(1人と2体)を座らせる。

その反対側に、リウが座る。

リウ「とりあえず、始めましてだね。神龍 リオンくん。」

軽く頭を下げるリウ。ちらとリューのほうを見る。

とぼけたような感じで視線を逸らすリュー。

リオン「あ、はい。」

同じように軽く頭を下げるリオン。

リウ「テムジン、なんか飲み物持ってきて!」

後ろに立ってるテムジンに向かって頼む。

テムジン「自分でやればいいのに…分かったよ!」

愚痴をこぼしながら、端っこの方にある冷蔵庫に向かう。

リウ「さて、その2体のメダルを借りていいかい?」

リュ&ウ『え!?』

かなり困ったような瞳で、リオンの方を見る2体。

リオン「いいですけど…」

首もとの辺りをぽりぽりとかく。

ウイング「仕方ないな…」

リュー「落さないでくれよ。」

リオンに背中を向け、メダルカバーを開く2体。

それだけ、リオンを信用しているという証拠でもある。

リュー、ウイングの順でメダルを抜く。

リオン「はい。」

右手の平に乗った、2枚の翼竜を渡す。

リウ「ありがとう…珍しいメダルだね。始めてみるよ。」

リューのメダルを机の上に置き、ウイングの方の銀色の翼竜メダルを目の前に持ってくる。

リオン「前はウイングメダルとドラゴンメダルだったんですけど…ドラゴンメダルが割れて、ウイングメダルが覚醒したらなんかそうなってたんです。」

少し目を細め、真剣な眼差しになるリウ。

リウ「割れたメダルが覚醒によって蘇った…という事だね?」

リオン「そうなりますかね。」

リウ「割れたメダルと融合した…のか?それも全く2枚とも同じ絵柄になって…」

ぶつぶつと呟くリウ。リオンには所々しか聞こえていない。

リオン「リウさん?俺をここに呼び出した用事ってこれだけですか?」

怪訝そうな表情で尋ねるリオン。

リウ「え?あ、いや。それだけじゃないよ。そこのカプセルの中に、メダロットが作られてるのが見えるでしょ?」

自分の後ろを指差す。

カプセルが二つ、立ててありその中で静かに浮かんでいる2体。

その姿は、確かにKBTとKWG。

リオン「うおう!?新型機ですか?!」

ソファーを思いっきり倒して、立ちあがる。

リウ「ああ、君のために開発したものでね。装甲が完成したら、あとはこのメダルたちのデータを回収して、それにあったものに微調整すれば完成だから。そしたら君に上げるよ。」

リオン「おお!ありがとうです!」

もう興奮しまくり。

リウ「まぁ、落ちついて。バンガードビートルには二重機構とあと一つ、”ウイングシステム”が積んであってね。」

リオン「ウイングシステム…って、今のにも積んであるやつですか?」

レイヤー戦からメダロッチには表示されているが、今まで発動した事のない謎の機能。

リウ「今のサイカチスに積んであるのは試作品でね。機動時間が3分が限界なんだ。でも、バンガードになると全力で戦ってもで30分、最高で1時間もたせることができるんだ!」

力説。それほどまでに真剣になって作ったシステムなのであろう。

リオン「おおおッ!!凄いッスよ、リウさん!」

こちとらもう興奮しっぱなし。ある意味暴走している。

暴走が頂点に達したのか、轟音と共に壁に大きな穴が開く。

リオン「え?」

否、穴の真ん中にメダロットらしきシルエットが浮び上がっている。

リウ「あれは…」

呆然とその方向を見ている。

リオン「リウさん、ウイングのメダルを!」

謎の襲撃者から視線を離し、リウのほうを見る。

リウ「え?」

リオン「ウイングで粘りますから、その間にリューの方の新型機を!」

リウ「でも、敵と決まったわけじゃ…」

慌てるリオンとは対照的に落ちついた判断。

リオン「敵ですよ!どこのどいつが3階に!いきなり壁から突っ込んできますか!」

躊躇しているリウからウイングの翼竜メダルを奪い取り、サイカチスの背中にはめる。

メダルカバーが閉まり、サイカチスが首を上げる。

ウイング「えらく早い起動だな。もうデータ取りは終わったのか?」

ソファーから立ちあがり、辺りを見まわす。

壁に開いた穴に、視線を止める。

リオン「データどうこうなんていってられなくなった。リューの新型機が出来るまで粘るぞ。」

ウイング「…レイブン…?にしては少し雰囲気が違う…。」

リオンの話を聞いているのか聞いていないのか、今だ砂塵に包まれた襲撃者を見つづけている。

リオン「ばさっとするな、行け!」

リオンがウイングに言うのとほぼ同じに、リウが作業を始める。

 

ウイング「誰だろうと…関係無い!」

ブラスターを前に向け、照準を合わせる。

リオン「リウさん、まだ!?」

後ろの方で作業しているリウに向かって叫ぶ。

リウ「あと10分!10分だけ待って!」

2つの銃口から、弾が放たれる。多少のばらつきは見えども、標的に向かって飛ぶ。

一番前を飛んでいた銃弾が砂塵に突き刺さったとき、その中に立っていた影が、”消えた”。

ウイング「!?」

驚いて、銃撃が止まる。

リオン「前!」

視線を穴から、前に動かす。

影が、ウイングに向かって走っている。…いや、飛んでいる。

ウイング「な…しまった!」

射撃型なのか、銃弾が放たれる。

それを腕を交差させて受けとめるウイング。

銃弾が装甲を突き抜け、内部にまで食い込んでいる。

リオン「これほどの威力…」

メダロッチを見れば、ことの重大さが分かる。

装甲値が大きく減り、突き刺さった弾丸がライフルユニットに障害をきたしている。

ウイング「速い!……当たれ!」

銃弾が刺さったからといって攻撃が終わるわけではない。

突っ込んできた影の拳を右手で受けとめ、反応弾を放つ。

拳を受けとめたウイングの右手に、痺れが残る。

逆転の願いを込めた反応弾も、敢え無く撃ち落され、辺りに爆煙が広がる。

ウイング「めくらまし…?」

両腕を構えなおし、辺りを探る。

リオン「…!ウイング、新型機の方だ!」

ウイング「へ…?」

リオン「他に何の目的があってこんなとこに来たと思う!」

ウイング「わかった!」

煙の広がる中を、新型機があったと思われるところに勘で走る。

何かが動く影が見えたので、まだ機能の生きている左腕の、右の銃口から弾を放つ。

ピンクの光が走り、消される弾丸。

「何やってるんだ!俺じゃないだろ!」

赤い瞳がこちらを向く。声とそれだけでテムジンと確信できた。

ウイング「師匠!…敵はどこですか!」

テムジン「俺の前!」

徐々に晴れていく煙。

パリパリと反発しあいながら、テムジンのビームサーベルと、影のバリアーか何かが均衡を保っている。

止まっているせいで、影の姿かはっきりとした。

肩に光る、赤い玉。それを包むように装甲が広がり、背中には黒き翼。腕には銃口のようなものが見え、その瞳は赤いレンズで覆われている。

赤い玉から放たれてるバリアフィールドが、レイブンを中心として球の様に包んでいる。

ウイング「レイブン…間違いねぇ!」

肩のエアーブースターを開く。しっかりと目標を捕らえ、右腕を一旦引く。

ウイング「リクガン…フレア――――!」

そして、前に突き出し、レイブン目指して突撃。

 

サーベルとリクガンフレアを両方防ぐために、フィールドをその2点に集中し、他の所のフィールドが薄くなる。

テムジンが、ウイングと視線を合わせる。

頷くウイング。

ウイングが、余っている左腕を、テムジンがサーベルを支えてた右腕を引く。

テムジン「いくぞ!」

ウイング「おう!」

ウ&テ『ダァブル、ドルフィンブロウ!』

おもいっきり腰を曲げ、姿勢を低くする。

引いた腕を、半円を描くように下からすくい上げ、レイブンの腹部へ。

二つの拳が、一つの腹部へと突き上げられる。

そのまま地を蹴り、エアーブースターで飛び、天井に叩きつける。

エアーブースターを切り、着地する2体。

ウイング「やったか!?」

テムジン「…まだだ。リウ、まだか!?」

天井から視線を離し、リウを見る。

リウ「これで、終わり!」

最後のキーを押す。

KWGの入っていたカプセルが、水蒸気を上げる。

中に入っていた水が、パイプを通してどこかへ流れていく。

KWGを囲っていたガラスが降り、KWGが前のめりに落ちかける。

それを抱え、リオンの元に持っていく。

リウ「起動は、君が。」

KWGと、リューの翼竜メダルをリオンに渡す。

リオン「はい。」

翼竜メダルを一度見、KWGの背中に持っていく。

その中の、六角形のくぼみにそのメダルをはめる。

メダルのコアが一度光り、メダルカバーが降りる。

閉まると同じに、KWGの全身から、水蒸気が吹き上げる。

紅き光が、その瞳に灯る。

地面を踏みしめ、しっかりと立ち上がる。

天に向かって伸びる、2本の蒼き角。

前の元とはほとんど変わっていない脚部。

水色の、透き通った右腕の刃。同じように透き通った左腕のハンマー。

そして、強い意思をもった、紅い瞳。

リュ―「主よ、敵は?」

リオン「天井に叩きつけた。だが、まだ起動している。」

リュー「わかった。」

影が、天井から地面に向かって弾丸を放つ。

間一髪でそれをかわす2体。

リューが、地を蹴る。そのスピードは前のドークスのときよりも早い。

リュー「どけッ!」

ウイングとテムジンが左右に飛ぶ。

その間を、リューが駆ける。レイブンの下まで来た辺りで、膝を強く曲げ、跳ぶ。

リオン「そいつはフィールドを持ってる!今までのやつとは違うぞ!」

リュー「応ッ!」

右腕の刃を、下から振り上げる。それを翼で羽ばたき、後ろへ下がってかわすレイブン。

天井に脚をつき、そこからさらにレイブン目掛けて跳ぶ。

リュー「入射角さえ!」

右腕の刃を前につきだし、フィールドに突き刺す。

刃というのは先端へいくほど鋭くなっているもので、フィールドを突き破るには、もってこいの武器である。

フィールドを突き抜け、レイブンに突っ込む。

フィールドを貫かれる事を予想していなかったのか、回避運動が取れず、リューの突撃を、右腕で受け止める。

右腕を貫通し、水色の刃にオイルが滴る。

ウイング「やったか!?」

刃を引きぬき、地面に着地する。

動きが止まるレイブン。

テムジン「…………止まった。」

いつ動き出すかわからないので、サーベルは握ったまま。

緊張が辺りを包む。リウも作業を止め、左腕の白と灰色のメダロッチを構える。

リウ「…………!?」

レイブンが動いたと思った瞬間、リウの後ろのKBTの入ったカプセルが割れ、中のKBT自体にも銃弾が食いこんでいる。まだ装甲の出来ていない状態であったため、内部が傷ついている。

ウイング「あ―――――!俺の後継機!」

KBTのその姿を見て、ウイングが叫ぶ。

リュー「戦いの最中に目を離すな!」

リューが再び跳ぼうとするが、それよりも速くレイブンが元来た穴から飛び去る。

リオン「逃げた…?」

ゆっくりと組んでいた腕を下ろす。

リウ「いや、後継機の破壊という任務を果たしたから帰ったんだろうね。」

リウもメダロッチのカバーを閉め、腕を下ろす。

ウイング「くそー!あの野郎俺の後継機を!」

口惜しそうに声を上げる。

 

 

リウ「いや、そんなに壊れてはいないから大丈夫だと思うけど…それよりも、レイブンについて、話さなければならないようだね。」

ふぅ、とため息をつき、先ほどまで座ってたソファーに座る。

リオン「レイブンって、さっきのやつですよね?」

リオンも、その前にソファーを立て直して座る。

リウ「ああ。彼のメダルは…」

リウが話そうとする前に、リオンの後ろに立っているウイングが話し出す。

ウイング「レイブンは、俺の兄弟のようなものだ。…俺は、この世界のメダルじゃない。平行世界を司る木の…使いといったらいいのか、木の平和を乱そうとしたやつを倒そうとしてこの世界に介入した。」

リオン「その乱そうとしたやつがレイブン?」

姿は見えないが後ろの方にウイングに尋ねる。

ウイング「いや、違う。この世界への介入前にそいつは何とかメダルを真っ二つにしたんだが、まだやつは生きている。2つの命となって。レイブンは介入時に偶然発生した。影の俺のようなもの。介入した際、俺はそれまでの記憶を失ったが、その分を奴が記憶していた。レイブンは俺を逃がすときやられてたが…」

言葉に詰まる。その間にリウが話を進める。

リウ「今のレイブンは多分洗脳かなんかされてるんだろうね。…ウイングメダルはレイブンを倒すための切り札だった。…僕と君の父親は、月島博士の元ウイングメダルの研究に関わっていた。」

リオンが頭を抱えてうんうん唸っている。

リオン「…話がだんだんややこしくなってきましたね…。つまり、ウイングは悪い奴を倒そうとしてこの世界に来たと。で、影の自分が出来ちゃってそれがレイブンでいい奴なんだけど洗脳されちゃってると。リウさんは俺の親父と月島博士って人とウイングのメダルの研究をしてたってことですか。」

ふぅ、とため息をつき深くソファーによりかかり話しを続ける。

リウ「そう。ウイングメダルはウイング君のメダルだけではなくほかにも2枚、発見された。」

ウイング「あ、それ俺の仲間。兄弟に近いけど。」

話の途中に割り込んだウイングを放っておき、はなしを進める。

リウ「……こんなものかな。他に何か聴きたいことはある?」

ソファーから背中を離す。

リオン「もう一体の新型機はいつ出来るんですか?」

リウ「さっきの話のことは?」

半分呆れて、眼鏡を掛け直しながら尋ねる。

リオン「いいです。難しいから。」

きっぱりと、断る。

リウ「…つくづく君は、ユウリの息子だなぁと思うよ。KBTの新型はもう少し待ってて。あ、ウイング君のメダル貸してくれるかな?データを取っておきたいから。」

ウイング「ほらよ。」

背中もメダルカバーを開き、リオンのほうに向ける。

リオン「おう。」

メダルを抜き取り、リウに渡す。

リウ「ありがとう。もし、暇だったら手伝ってほしいことがあるんだけど。」

リオン「なんですか?」

リウ「あの穴…塞いでもらえるかな?材料は下から持ってきて。」

あちゃあ、と言った感じで額を押さえるリオン。

リューと共に材料を取りに下に降りていく。

 

リウ「レイブンを手駒にとって、世界征服なんか企んで、何が面白い…切り札は、まだこっちにある。負けはしないよ…。」

誰に言うわけでもなく、ウイングのデータを取りながら呟いた。


続く。

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