「いくぜぇ、ファイア。」

ぴーひゃらと祭囃子が遠くから聞こえる。

根拠のない自信で不適な笑みを浮かべる。

「おう、目指すは優勝ってか?」

わずか2,3段しかない階段を上りながらの会話。近くの神社のお祭りの一環で地域の小中学生のための試合である。

ステージに立ち、四年前から愛用してるメダロッチを構える。

「ロボトルファイト!」

レフェリーが開戦の合図を告げる…


白きクワガタの伝説  メモリー7  ロボトル大会


流「ファイア…リボルバー!」

Fリボルバーから一撃。閃光のごとく駆け抜け、頭部に直撃。後ろに吹き飛びリングアウトと同時に機能停止。

ファイア「うっし、3回戦突破!」

ガッツポーズをとりながら流の元へ歩いていく。

流「いいぞ、ファイア。ところでさっき聞いたんだけどもうひとつのトーナメントではKWG−18を持った奴が勝ちあがってきてるみたいだぞ。」

ファイア「それって…」

流「たぶん”あいつ”だ。」

ハヤト「言っとくけど俺じゃないよ。だって俺のKWG−19だから。しかもこの大会エントリーしてないし。」

焼イカを食べながら話す。

流「部長、いつの間に。」

少し驚きながら話を続ける

ハヤト「ついさっきからだ。さっき龍祐たちも見かけたぞ。」

流「そ〜かぁ〜。んじゃ俺整備があるからここいらで。」

ハヤト「がんばれよ。」

人ごみの中に消えていく流に向かって声援を飛ばし、あたりを見まわす。

ハヤト「またあいつどっか行きやがった。」

 

「それでは都会の端メダロット選手権、決勝戦をはじめます!赤コーナーKBTー18型を使う海 流選手とその相棒ファイア選手!」

パチパチと拍手がまだらに起こる。

ふと、相手を見るとやはり長年のライバルであった。

「対する青コーナー、KWG−18を使う青雲 源(せいうん はじめ)とその相棒、フリーズ!なんと言う事でしょう、この二人長年のライバルなのであります!機体も互いを意識したかのような構成、さぁ、都会の端メダロット選手権決勝…ロボトル…ファイト!」

どっからかゴングの音がし、指示を飛ばす。

流「間合いをとれ、近づかせるなよ!一気に溶かしてやれ!」

源「接近戦に持ちこめ、間違っても距離をとるな!凍りつかしてやれ!」

対極をなす指示を出し、動き始める二体。

ファイア「お前と戦うのも久しぶりだな!」

Fマシンガンを乱射しながら叫ぶ。

フリーズ「そうだな…ならばおとなしくやられて貰おう!」

回避しながら答え、大きく飛翔。

流「火炎弾!」

ファイア「貰った!」

煙を出しながら、直進する火炎弾。

空中で爆発、フリーズの姿が見えなくなる。

流「気ぃ抜くなよ、あれくらいで終わるとは思えねぇからな。」

ファイア「わーってる。」

Fリボルバーを構え、煙の方にむける。

一瞬の間、彼らにはそれがとても長いものに感じられた。

一向に晴れない煙、それがとても憎らしさえ感じられた。

源「いまだぁぁぁ!」

フリーズ「おおおおおお!」

ファイアの後ろに突如現れ、刃を振る。

ファイア「しまっ…」

とっさの反応で首を右に曲げる。

わずかに矛先がそれ、左肩のポットが吹き飛び。肩から腕にかけて切り傷が入る。さらに18シリーズの特徴である状態変化”停止”の効果で左腕がほとんど使えなくなってしまう、

ファイア「くっそ…よくもやったなぁ!」

Fリボルバーを連射!

流「ファイア、落ち着け!接近戦の間合いまで持ちこむんだ!」

続けて指示を出す。

ファイア「んな作戦、確実性はあんのかよ…」

流「俺の辞書に確実性なんて言葉はない。」

 

フリーズ「何やら話しこんでますが…」

源「きっと作戦でもあんだろ。よし、鋭角飛びでアイスハンマー。」

フリーズ「了解!」

鋭角飛びとは、鋭い角度で左右に飛び相手をかく乱させながら間合いをつめる飛び方。

左右にピョンピョン飛びながら、ファイアに接近する。

ファイア「このやろ!あたれっての!」

フリーズ「冗談ではない!」

流「今だ!火炎だぁん!」

両の角から炎に包まれた反応弾を発射。直線にフリーズへと向かう。

源「メダフォォース!!」

フリーズ「横…一閃!」

剣を横に振るい黄金の衝撃波を発生させる。

二つのミサイルを真っ二つにし、そのままファイアへ突き抜ける。

流「ファイア!一斉射撃!」

ファイア「まにあわねぇっつーの。」

流「んじゃ負けか?」

ファイア「この距離じゃよけれねぇし。」

そのまま頭部に直撃し、後ろに吹き飛ぶ。二転三転した後背中からメダルを射出する。

「ファイア機能停止!勝者フリーーーズ!」

やれやれといった表情でサナギに成長したカブトメダルを拾い上げる。

顔をあげるとちょうど前に源が立っていた。

源「なんだ今日のロボトルは!俺をなめてるのか!!」

襟元をつかみ持ち上げる。怒りを表すかのように手が震えている。

流「俺はいつでも本気でやっているよ。」

呆れたような表情で言う。

源「少なくとも!はじめてあった日のお前は、今のように腑抜けではなかった!俺はお前の中に闘志を熱い闘志を感じたからライバルと見とめたんだ!」

襟元をつかんでいる手を離し、ステージから降りていく。

地区予選で会おう。その言葉を残して。


次回予告

ウイング「なんだか知らないけどうちにたくさん人が来るぞ!」

リュー「これほどの人数、うちに来たことって…」

リオン「さて、次回白きクワガタの伝説「強化合宿開催!」また来週?」


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