もう一つの翼 第1話 3円のメダロット
「ふあぁ〜あ、今日も平和だな〜。」
コンビニの中で一人の青年がつぶやく。
「てめぇ、何でコンビニのバイトなんだよ。」
彼の愛機のKBT型が文句を言う。
「うるせぇ、伝説のメダロッターはコンビニでバイト。これで決まりなんだよ。」
青年はすかさず反論する。しかし、ポップマートは暇であった。
花園三中
「龍佑、はやくメダロットかいなよ。」
「うん、でも僕これしか持ってないんだ。」
龍佑と呼ばれた少年はポケットから4枚の個体を出し、友人に見せる。
「げ…3円…それといつものメダル…これじゃ買えないよな…」
「うん…」
この二人の周りだけ暗いふいんきが漂っている。
放課後
帰り道、人通りの少ない、裏通りを通っていると急に後ろから声をかけられた。
「おい、てめぇ!メダロットだしな!!」
後ろを振り返る、すると、学ランにリーゼント、いかにも不良といった感じの男が立っていた。
「俺は泣く子も黙る、最強のメダロッター神龍リオンだ!」
「あ…あの…僕、メダロット持ってないんです…」
「なんだと!てめぇ!!今すぐ買って来い!!」
コンビニ
「よし!これで完成!!」「完成!!」
この一人と一体の作っていたものは同時に完成を向かえた。
「何が出来たんだ?」
「じゃーん、”メダチェンジ、メダフォース、サイカチスVerリオン、ブルーメッキバージョンだ!”」
「あれ?それってオレンジのメッキじゃなかったっけ?」
「それを塗り替えて、作ったんだよ。」
「じゃあ、今度は俺が!ブラックビートル、俺スペシャルだ!ティンペットも、ほとんどお前並に強化してあって、武装もパワーアップ!!」
「おお!すげー!でも戦車モードなんてよく出来たなァ。」
「ああ、あれ。めんどくさいからサイカチスと同じようにしたんだよ。」
バン!荒々しくドアを開け一人の少年が入ってくる。
「いらっしゃいませ。」
「メダロット売ってください!あ、これでいいです。ハイ、お金。それでは!」
レジの上に置かれていたブラックビートルとメダロッチを持ち、3円を置いてまた出ていってしまった。
「…3円…」
再び裏通り
「お、買ってきたな。パーツは四つ掛けだ!!」
「その勝負合意と見てよろしいですね?龍佑チーム対神龍チーム、ロボトルーファイト!」
龍佑はメダロットに翼の模様の入った銀色のメダルをセットした。
「?ここはどこだ?お前は俺のマスターか?」
「うん、僕がお前のマスター、龍佑だ。お前の名前はライトニングだ。」
「ごちゃごちゃ言ってねえではやくかかって来い!俺のリューとウイングでひねりつぶしてやるぜ!!」
「よ、ようし、ライトニング、右腕で攻撃だ!」
「よっしゃ、いくぜ!」
ビヒュウン、ボン!
「頭部パーツダメージ400%、ティンペット機能停止、再生不可能」
「うわー!なんてことするんだ!!高かったんだぞ!これ!」
「よし!こんどはKWGの方だ!!」
「よけろ、リュー、後ろに回りこむんだ!!」
ビームをよけ後ろに回りこむ。
「左腕で打ち落とせ!」
バシュウ!飛び掛ろうとしたリューにビームがあたり機能停止する。
「リュー、機能停止!勝者龍佑チーム!!」
「やったー。すごいぞ、ライトニング。」
「余裕。」
家
「龍佑、あんたメダロット買っちゃったの?出て行け!!」
「わかったよ、おばさん。出て行くよ。」
「???」
彼は親類の家を転々としていて厄介物扱いだったのだ。
「あれ?こんな簡単に家を出ちゃっていいの?」
「いいよ。あのひと嫌いだったから。」
「ふーん。」
「それに僕の父さんと母さんは、行方不明になっちゃったんだ。」
「んー。で、これからどうすんの?」
「とりあえずコンビニ行こうか。」
コンビニ
「あ〜あ、取られちゃったぁ〜。」
「どんまい。」
ガー。いつの間に自動ドアになっている。
「あ!昼間の少年!!」「あ!昼間の店員さん!!」
「おれのブラック(ブルー)ビートルは?」
「あれです。」
店をきょろきょろ見回してるライトニングを指す。
「?何のようだ?」
「使ってるのかー。ガク。」
「まあ、いいじゃん。」
「よくない!」
「あのー、店員さんのメダロット変わってますね。背中に翼が生えてるなんて。」
「うん、10年前のある事件のときからずっとそうなんだ。」
「へぇー。そうなんですか。」
「ところで君、帰らなくていいの?もう十二時だよ」
「……僕、家を追い出されちゃったんです…」
「そ、そうなの…」
店員はしばらく考えると、
「よし!わかった。君は今日から俺の家族だ!!」
「はぁ…」
店員はポケットから紙を取り出すとそれに何かを書き渡してきた。
「はい、これ住所。それと鍵、203号室だから。」
「え…いいんですかぁ!!」
「うん。一人増えたぐらいどって事ないさ。」
「やったー!」
次回予告
「さて、メダロットも手に入れて、新しい家も見つかったし。」
「見つかったし?」
「どうしよっかナー。」
「なんのこっちゃ。
次回、「もう一つの翼」『偽者と本物』」
「ロボトルゥゥファイト!」
「店員って名前何?」
KBT−03 ブラックビートルカスタム ライトニング
メダル:ウイング
特製強化型ティンペット
頭部:シャドウバリスター
右腕:ライトブラスター
左腕:レフトブラスター
脚部:シャドウエンブレンス