もう一つの翼  第8話  新しい仲間


今日はお正月。子供の給料日である。

「龍佑〜おせちできたぞ〜」

「は〜い。」

とりあえずメダロットも席に着く。向かい合うようにリオンと龍佑が座る。その中間の両端をニ体のメダロットが同じように座る。

「いただきま〜す。」

まずは伊達巻を口に運ぶ。

「あ、おいしい。」

「だろ、だろ!伝説のメダロッターが作るだけあるだろ。」

「伝説のメダロッター関係ないんじゃ…」

「うるさ…」

ピンポーン

「ったく、誰だよ。正月から人の家に来る奴は…」

ガチャ

「は〜い」

不機嫌そうな声を出しドアを開ける。

「は〜い、リオ〜ン。」

扉を開けた先に立っているのは着物姿の瑠璃。

「何しに来た。」

「決まってんじゃない、おせちを食べによ。」

「…お前女ならそれくらい作れるだろ。」

めんどくさそーーーーにリオンが言う。

「いいからいいから幼馴染でしょ。」

「わかったわかった。さっさと入れ。」

「それならそうと早く言ってよ。おじゃましまーす。」

居間に瑠璃が入ってくる。その後ろにリオンが続いて現われる。

「あれ?リオン弟いたの?」

「10も年が違う弟がいてたまるか。引き取ったんだよ。」

「ふぅ〜ん。」

興味なさそうに納得しリオンが座っていた席につく。

「いただきま〜す。」

「あ〜あ、去年もこうだったような…」

がっくりとうなだれてソファーに座る。

「もぐもぐ…あれ?もぐもぐ…リオン…もぐもぐ…食べないの?もぐもぐ…」

「話す時ぐらい食べるのやめろよ…食欲なくなったから食べないの。」

「ふぅ〜ん。こんなに美味しいのに。」

「あの〜リオン兄ちゃんと瑠璃姉ちゃんってどういう関係なんですか?」

「そりゃ、もちろん幼馴染よ!」

「ホントなんですか?リオン兄ちゃん!!」

リオンの方を向きたずねる。

「うん、まぁ…」

「大失敗だな。」

ウイングが冷静に言う。

「うるさい!」

すかさず瑠璃の肘撃ちが飛ぶ。

「ぐふぅ。」

「ふ…わたしに逆らおうなんて100年はやいわ…」

「毎年これの繰り返しじゃあ苦労するだろうに。」

「まったく。」

「うるさい!」

「ぐえ!」

今度はライトニングに肘撃ちが飛ぶ。痛くならないのだろうか?

「メダロットに奴当たりするなよ。あ、そーいやブラストは?」

「ああ、ゴットエンペラーのパーツの性能をラストセーラーに移植しようとおもッたら壊れちゃった。」

「メダルは?」

「この中。」

左腕についている赤とピンク色でカラーリングされたメダロッチを指差す。

「じゃあ、パーツは?」

「家。」

床を指差す。

「持ってくりゃ、俺が治すよ。」

張り切って答える。

「じゃあ、取ってくるね。」

バタバタと外に出ていく。

「何でそんなに張り切っているんですか?」

「そりゃあ改造が楽しいからさ。あ、そうだ。これを渡し忘れてたな。」

ポケットから白い封筒を取り出す。それには”お年玉”と汚い文字で書いてある。

「わぁ、ありがとう御座います!」

さっそく、封を切り中身を取り出す。

「1…2…3…4…5…6…7…8…9…10!」

「10万円!?」

ライトニングがびっくりして答える。

「いや、1万円。」

「なんだ。」

「なんだとはなんだ!」

ちょっと不機嫌そうにリオンが叫ぶ。

「少ないからよ。」

おっきなダンボールを両腕で抱えながら瑠璃が入場してくる。

床にダンボールを下ろすとポケットから財布を出し2枚の紙を差し出す。

「わぁ、一万円と千円だ!ありがとう御座います!」

「うむ。苦しゅうない。」

なぜか殿様。

「俺と千円しか変わってないじゃないか。」

「だまらっしゃい!」

「…」

「…買い物いこ。ライトニング。」

「…そうしよう。」

それをきいた瞬間、リオンの耳が

「あ、買い物に行くんだったら俺に任せろ!」

リオンが親指で自分を指し自信満々の笑みを浮かべてる。

 

「用意はいいか?」

「オッケーです!」

「じゃ、レッツゴー!」

黒いカッコいいバイクは何処かに走り去っていった。

 

「着いた!」

「ここは”メダロットショップN”」

「さ、はいったはいった。」

からんからん。入場をつげる鐘の音がする。

「よ、ノリス。」

「お前コンビニはどうした。」

「いいよ別にあんなへぼコンビニ。」

「…」

「あ、龍佑好きなパーツ選んできていいよ。どうせ古いのしかないけど」

「レアなのと言え。」

「は〜い」

 

 

数分後

「このメダル、なんていうメダルですか?」

ポケットから1枚のメダルを取り出し二人に見せる。

「ん〜と、これは”ユニコーンメダル”だな。」

「どういうパーツと相性がいいんですか?」

「たしか回復系だったかな?」

「じゃ、選んできまーす。」

その場から立ち去りパーツを選び出す。

「あのメダル、瞳が開いてたよな…」

「ああ…レアメダルと言うことか…」

 

 

「これにしま〜す!」

彼が持ってきた籠の中には

女性型ティンペット×1

ブレイブナースのパーツ一式

整備用工具セット

オリジナルパーツを作ろう!の本

オリジナルパーツ精製キット

「え〜と全部で26570円です。」

「足りない…」

「ハイ。これで買えるだろ。」

リオンが財布から一枚の紙を出し龍佑に渡す。

「ありがとう御座います!」

ぺこりと一礼をする

「いいって、今日は正月なんだし。」

「はやく会計を済ましてくれ〜」

「あ、はい!」

 

神龍家 

「なにかって来たんだ?」

「ナ・イ・ショ。」

「リオン早く作りなさい!」

顔が真っ赤になっている。そして机の上にビールの缶が転がっている。

「てめぇ、酒かっくらってやがッたな!」

わけわからん

「いいからはやくつくりなさいよぉ〜」

完全に酔っ払ってる

「っち!」

少し怒りながら、ゴットエンペラーからラストセーラーへのパーツの移植を始める。

「これがこっちでこうなって…」

なれた手つきで改造していく。

数分後

「よし、できたぁ!」

「うそぉ、はや!」

「後はティンペットにはめて…」

パーツをティンペットにはめていく

「できた!後はメダル…は瑠璃が持ってるけど起こすとうるさいから…」

ウイングを呼び寄せる。

「ん、なんだ?」

「ちょっと後ろ向いて。」

「ん?なんだ?って、わぁ、やめろ、やめろっつーの!」

後ろを向くと同時にメダルカバーを開けメダルを取ろうとする。

「きにするな。」

「気にするよ!わぁぁぁぁ…」

メダルをぬかれ沈黙するブレードウイング。

「で、今度はこいつにセット!」

抜いた翼竜メダルをラストセーラー改に装着する。

「ふぅ…ってあれ?こんなところに鏡なんかあったっけ?」

「ないよ。」

「そうだ!てめえ、よくもメダル外しやがったな!」

右腕をリオンに向ける。

「あれ?俺のボディじゃねえ!!」

今ごろ気付いた様だ。

「ああ、ちょっと動作点検。」

「動作点検って…俺を使うなよ…。」

「後でオイルあげるから。」

「っち!しゃあねぇなぁ。」

両腕をぶんぶん振り回し異常がないか確認する。

「次、性能点検。」

壁にかけられた謎の板に両腕の銃口を向ける。

「うりゃ!」

両腕から放たれたレーザーは異常なく真っ直ぐにその板に向かっていく。板にレーザーが当たるとレーザーが拡散して消える。

「もういいだろ。早く戻してくれ。」

背中をリオンに向けメダルカバーを開ける。

「はいはい。」

メダルを抜き取り、ブレードウイングのボディ。通称”サイカチス、リオンモデル” にセットする。

「やっと元に戻った。」

やれやれといった感じで首を回す。

 

一方こちらは龍佑

「まずはパーツをランナーから切りとって…」

「作り終わったらティンペットにはめて…」

愛機と共同作業で作っていく。

「最後にメッダルをッはめたっら〜♪」

「でっきあっがり〜♪」

なぜか歌に。カチャと言う音と共にブレイブナースの目に光が宿る。

「……………………………………」

「あれ?壊れてるのかな?」

「だ〜れ〜が〜壊れてるってぇ〜」

いきなりたちあがるとファイティングポーズを取り構える。

「ろ、ろぼとる!?」

メダロッチを構え戦闘態勢を取る。

「オラァァ!!」

いきなり飛びかかり龍佑にアッパーを食らわす。さすがはレア。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…………………………………」

意識がだんだんと薄れてくる。

「気絶した…」

ライトニングが恐れおののいている

「ふん、他愛もない。」

勝ち誇ったかのように右腕を高々と上げる。

「起動してすぐにマスターを気絶させるとは…前代未聞だな。」

その言葉に機敏に反応するブレイブナース。

「え?!マスターだったの?あらぁ〜」

しまったというような感じで目を大きくする。

「たいへんなことになりそうだな…」

「ホントに…………………………………」


次回予告

「なんと南蛮鴻毛船!」

「ずいぶん古いネタだな…」

「いきなり挑戦状だ!」

「ええ!」

「次回「もう一つの翼」『挑戦状!初めての2対2』に…」

『ロボトルゥゥファイト!』