もう一つの翼 第4話 ロボトルしようぜ!!
「おーい、龍佑ぇ、今からロボトルしようぜ!!」
声は窓の向こうからする。
彼の席は一番窓に近い席なので窓を目一杯に開け、外を見る。
そこには、前回、共に買い物に出かけたメンバーがいる。
「うん、今から行くよ!」
彼らの次の時間は自習なので別にチャイムが鳴ってから校庭にいようが問題はない。
階段を全速力で駆けおリ、靴を履きかえ、外に出る。彼がみなの前に着いたころには、息切れをしていた。
「んじゃ、メダロット転送!」
アキラのメダロッチから出た光は、だんだんと形を作り、クワガタムシのような形になる。
「よーしぼくも、ライトニング、ブレードウイング転送!」
左腕につけた二つのメダロッチから転送される。(龍佑が持っているのは、いわゆるウイングの予備メダロッチで、本物はリオンがしっかり持っている。)
「お、ロボトルか?っつーかお前何故ここにいる。」
「気にするな。」
「気にするわボケェ!」
「じゃあ、あたしもアルテマブライン転送!」
「え、えっと『安曇』転送!!」
「『チャーム』転送!」
三人のメダロッチから、VAL型、CAT型、KBT型が転送される。
「どうやって、チーム分けするの?」
「じゃあ、俺と龍佑で組むから、そっちは残り物組みで。」
「何が残り物よ!!」
「がはぁぁぁ!!」
まゆみの鉄拳があきらの頬にクリーンヒットし、後ろに倒れこむ。
「うう…テラカド、龍佑、後は頼んだ……ガクッ」
どうやら気絶したようである、が、そんなことはお構いなしにロボトルの準備をする。
「じゃあ、この石が地面についたらはじめね。」
龍佑が足元にあった石を拾い上げながら言う。
「そーれ!」
声と共に空へ放り出された石を見守り、地面に着くと共に自分の腕時計型指示装置に叫ぶ。
「ライトニング、ウイング、テラカド!林の中に隠れて!!」
『よっしゃ!』「了解!」
指示を受け、一斉に林の中に消えていく。
「みんな、あの腰抜け共を追うのよ!!」
フィールドは校庭から林に一変した。言わずとも林は入り組んでいて索敵がしにくいので龍佑はそこに隠れるように指示をしたのだ。
「んっと、バーチャルアイ!」
倒れているアキラのメダロッチに指示を出す。一人で三体も指令をださなければいけないのだから、これは大変だろう。
「テラカド、どっか隠れて。」
いままで、書くのを忘れていたが、アキラの父は宇宙センターで働いており、役目の終わったテラカド(35号)のメダルをアキラが貰ってきたわけである。
「分かったでござる!」
「二人とも散って!!」
『了解!』
「お〜い、起きろ〜!」
アキラの頬をペチペチたたくが効果が無い。もう少し強く叩いても反応が無い。
「仕方ない、たぁ!」
思いっきり腹にパンチを入れる。
「グハァ!!」
反応があったが血を吐いてまたすぐに気絶してしまった。
「ん〜、ちょっち強すぎたかな。」
「アルテマ、上にサイクロンショット(アルテマブラインの右腕、実は剣もある)!」
「テラカド、チョッキンブレード(チャンバラソードがはさみになったような物。)!」
アルテマの背後に廻りこみ、頭部パーツをしとめたはずだったが…
「な…盾か…」
「甘く見ないで、でぇぇぇぇぇぇぇい!!」
普段は盾の中に収納されているバルキリーセイバー(サムライセイバーみたいなの。)を取りだし、頭部目掛けて振り下ろす!
「むん!」
頭の角で白刃どりもどきでソレを受け止めると反撃に転じた!!
「その盾…斬!」
もうソレこそはさみって感じに盾を切り落とした!
「まだまだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
剣で斬りあっている。もう、ここでは書けないぐらいにものすごく。そして、この戦いに勝者がいなかったことを書き加えておく。
「しつこいな、あの猫野郎。」
後方から追いかけてくるCAT型をみながらウイングがつぶやいた。
「ようし、いくぜ!」
バッ!とうしろを振り返り両腕の44マグナムを連射するが、そこには安曇の姿は無かった。
「何処いった…。」
砲撃を止め辺りを見回すが安曇の姿はない。
「どこだ?…………シベボビバビボビ!」
ウイングの体に物凄い量の電撃が走る。
「フルパワーですわ!」
「分かってるって!!」
女性型なのに男っぽい口調で指示を受け入れ、電撃を強くさせる。
「ピピピピピピピピピンチチチチチチチチチダダダダダダダダァァァァァァァ」
電撃がやむと共にがくりと膝から倒れこみ、メダルカバーが開く。が、その瞬間!
「必殺”死んだフリ”大成功!!」
いきなり起きあがり、振り返って反応弾を連射しまくる。いきなりの出来事で回避できなかったようだ。
「オラオラオラオラオラオラ!!!!!」
限りなく撃ちつづける。弾は切れないのだろうか?
「オラオラ…って、あれ?」
カチッカチッと言う音と共に弾の射出が止まる。それと共に安曇のからだが虹色の光に包まれた!
「チャーンス、メダフォース”雷鳴弾”!!」
「メダフォースバリア!!」
背中の翼を目一杯左右に広げ、両腕を前に突き出す。
「そんなことをやって、ふせげるものかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「やってやるぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
ウイングのバリアと安曇のメダフォースがぶつかり合い、その余波で廻りの木が何本か倒れてくる。
『うわっ!』
二人ともこの状態に気付く、が、時すでに遅し。木は二人を押しつぶそうと、迫ってくる。
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
倒れてくる木を回避しロボトルを続けている。
「射撃型の分際で格闘戦を挑んでくるとはいい度胸じゃない。」
「うるせえ、今、黙らしてやる!!」
その声とともに両腕の銃口をしまうウイング。一方安曇は両腕を構え迎撃体制を取る。
「これで終わりだ!!」
「それを待ってたんだぜ!!」
安曇が全身の攻撃武器で攻撃してくるのに対し、ウイングは右腕を殴るように前に突き出す。
「リフレクトミラー、オン!!」
叫びと共に突き出した右腕の前に六角形のバリアができる。電撃はそれに当たると360度方向転換して術者の元へ向かう。
「ギャァァァァァァァァァァ!!」
「人の痛みは食らってみないと分からないんだぜ…って聞いてないか。」
背中からメダルが射出される安曇に向かってポツリとつぶやき、林から出ていった。
「オラオラオラオラオラオラ!!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!」
チャーム(KBTっす。)の攻撃をビームで打ち消しながら反撃をするライトニング。
「反応弾!!」
ボシュ、ボシュ。という音と共に頭の角からミサイルが出る。
「チャーム、回避よ!」
「わかってるわ。」
飛んでくる二つのミサイルを見事回避する。が
「曲がれ!」
くくく、っという感じでUターンをする。もちろんチャームはその事を知らず、再びロックオンをしようとしたその時!
「ぐえ!」
見事に後頭部にヒットする。
「頭部パーツダメージポイント62%、機能20%低下。」
「ライトニング、とどめだ!!」
「一気にきめるぜ!」
「チャーム、一発逆転でメダフォースよ!!」
「了解!」
メダフォースが一閃!防御できずにライトニングは後ろに吹っ飛ぶ。
「メダチェーーーーーーーンジ、クラフティモード!!」
「よっしゃ行くぜ!!」
背中にクラフティパーツが転送され、カブト虫飛行機のような感じになる。
「メダスフレイヤー、スタンバイ!」
「スタンバイ完了、いつでも撃てるぜ!」
「発射!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ずどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん、という大きな音がし、落ち葉やら何やらが吹き飛ぶ。
「まだ…まだ…よ……………。」
それを言い終わるとがくりと倒れ、背中からメダルが射出される。
「俺の勝ちじゃ、ボケェ!」
「やった、勝ったぁ。」
「やっぱり龍佑君は強いわねえ。」
「それにひきかえ、こいつは…」
皆の視線が気絶しているアキラに向けられる。
『はぁ〜』
ただ溜息をつくしかなかった。
次回予告
「今回は楽しかったねぇ。」
「つーか、疲れた。」
「次回はテストだよ。」
「ということはメダロットって出番無いんじゃ…」
「次回、「もう一つの翼」『期末試験で頑張ろう!』にロボトルゥゥゥゥゥゥファイト!」
「ロボトル無いんじゃ…」
「うっ…」