もう一つの翼 第13話 ウイングメダルを巡る闘い(後編)


「ん〜こりゃダメだなぁ…」

だいぶ破損したブラックビートルを見ながら、リオンが言う。

「え?どうしてですか?」

龍佑が質問を投げかける。

「え〜っと、メダの装甲の中にはマッスルケーブルとナノマシンってのがあるんだ。まあ、ナノマシンってのは傷ついた装甲を直すやつだ。それがこの4パーツの中から消えてなくなってるんだ。一つ残らず。」

「一つ残らず!?」

「おそらく、ウィルスかなんかだろう。」

「ウィルス?!」

「ああ。そこで、新しくパーツを作る必要があるんだ。もちろん、そのティンペットに合うパーツをな。」

龍佑の隣に置かれている特製ティンペットを指差す。

「それで…完成するにはどれくらいかかるんですか?」

「設計の時間を省けば2日ぐらいかな。案はあるの?」

「ええ…テスト終わった時とかに裏に書いていましたから。持ってきます。」

一度自分の部屋に戻り、本棚の一番下の左にしまってあったファイルを取り出して、戻ってくる。

「これです。」

「これか…ヘラクレスタイプか…俺も昔使ってたなぁ。」

「昔?」

「ああ…おれが13か14のときに、ある一体のメダロットの暴走を止めるまで使ってたんだよ。」

「へぇ〜」

「っと、そんなことじゃなくって、これでいいんだな。」

「はい!」

 

その晩

他に誰もいない部屋でパソコン(メダネットボード?)を操作する男。

「あとはデータを送れば、明日までにとどくだろ。たのむぜぇジョセフ。」

 

次の日

「いってきま〜す。」

元気良く出て行く龍佑。

 

「今日じゅうに届くかな…」

 

放課後。早いような気もするが放課後。

「見つけたロボ〜」

茂みから出てくるロボロボ団!

「!?ど、どうしよう?」

とりあえずメダロッチを構える龍佑。

「転送!」

「え〜い!転送!」

メダロッチから転送される、相手の前にはKWG−08 アイスシザーズ。龍佑の前にはボロボロになったKBT−03 ブラックビートル。あきらかに龍佑の不利である。

「うひょ〜やっぱりコロッケの言ってたことは本当ロボ!おひょひょひょひょひょ。」

 

        神龍龍佑VSカキフライ

使用メダ ライトニング  クワガタ

フィールド      道端

賭け品     互いのメダル   

 

「ロボトルファイト!」

 

メダロッチをかまえる龍佑。メダロッチのダメージバーが全パーツの装甲が残り5%を示している。

「じわじわといくロボ〜」

ゆっくりライトニングに向かって行き、まずは脚部を攻撃する。

「脚部パーツ総合ダメージポイント100機能停止、機能停止。」

「…体が…重い…」

 

そのころ神龍家

「郵便でーす。」

「はいはい…ハンコ。」

「はい、それでは。」

「届いたか…でも、なにかいやな予感がする。」

そう言うと彼は自分のメダロッチに送られてきたパーツを登録し、出て行く。

 

 

 

「くっ…そ…オラァ!」

右腕のライトブラスターを発射する。が、簡単に回避されてしまう。

「そろそろ終わりにするロボ。」

「死ぬロボ!」

クワガタが構えたその瞬間!

「新パーツ、シューット!」

ライトニングの後方から飛んできた光が、ライトニングに命中し、光に包まれる。

「な、なにロボ?!」

後方にはライフル型転送装置”メダライザー”(爆)を構えた神龍リオンが。

「間に合ったみたいだな。」

「さて…たっぷりお返しと行くぜ!」

新パーツに交換され、復活したライトニングが叫ぶ。

「ようし、ビームソード、チャンバラソード展開!」

右腕からチャンバラソードのようなユニット、左腕からはビーム状のサーベルが飛び出す。

「いくぜ!」

クワガタに接近し、チャンバラソードを振る。

それを自分の刃で受け止めるクワガタ。その瞬間、ライトニングは両腕をつかむ。

「こ、こ、で、発射☆!」

目の前にいるクワガタに向かってアペンディスターを発射する。当然、超至近距離で食らったのでおもいっきり吹き飛ぶ。

「ああ…クワガタが…」

唖然ボー然といった感じ。そりゃあ、勝てる勝負だったモンねぇ。

 

「さ…、メダルを貰って行くロボ。」

クワガタメダルを差し出すロボ幹部。

「いえ、メダルはいりません。そのかわり、パーツを下さい。」

「!?それでいいロボか?」

「いいですよ。ぼくには貴方から友を奪う権利はありませんから。」

「済まないロボ!ありがとうロボ!!」

KWG−84を渡し、去って行くロボロボ幹部。

 

「いいのか?また来るかもしれないんだぞ。」

「いいんですよ。また来ようと、ぼくはそれを押しのけるだけです。」

「ま、それもそうだな。」

空には赤い夕日が。もうすぐ、中学2年生である。彼の闘いはこれから、メダロット部に入ってからである。


次回予告

「とうとう最後の刺客を押しのけた…

しかし、それこそが真の闘いへの道しるべだった。

次回「もう一つの翼」『真の闘い』にロボトルゥゥゥファイト!」

 


KBT−?? ライトニング

メダル:ウイング

頭部:アペンディスター

右腕:チャンバラショットライフル

左腕:ビームソード

脚部:パワードオチツカー

 

両肩がアークダッシュの様になっていて、脚部がメタルビートルのような感じになっている。ビームソードは撃ち出すことも可能。