―――――時は2179年
メダロットと呼ばれる…
メダルを脳とし、ティンペットと言う骨格、パーツと呼ばれる
頭部、右腕、左腕、客部の4つの肉体をつけて完成する身長1mほどのロボットが、人々の生活に溶け込んでから
早くも150年以上が経っていた…
過去にメダロットを使った犯罪が多々起こっていたが、その度に英雄達が立ち向かい、これを解決して行った。
そして―――今に至る
この物語は、一人の青年の生活のほんの一部を描いたものである―――


Revorusionist

First revo
―遭遇―


「ふぅ…疲れた…もう朝だし…」
疲労感をたっぷり詰め込んだ声でぼやく。
ようやく自分の部屋があるアパートにつき、カンカンと音を鳴らして2階に上る。
昇りきったところからちょうど4歩、その先にある203号室「飛翔」とだけ汚い字で書かれたドアを引く。
ノブに手をかけたところで鍵を開けないとと思い直したが抵抗は無く簡単にドアは開いた。
本来なら泥棒でも入ったかと危惧するところであるが、生憎疲れてる彼の脳は機能してくれない。
「あ…電気が付けっぱなしだ…電気代がかさむ…」
ケチくさいことをぼやきながら運動靴を脱ごうとする。が、行動が止まった。
銃声。頬を掠める一つの銃弾。
その先に立つ、白いメダロット。手に持つは青い大型の銃。
本能的に間違いに気付き叫んだ。
「間違えました!」
部屋を間違えたと思い、部屋から飛び出す。
バタン、とドアを閉めたあと眠気の飛んだ頭を振るいもう一度今出てきたドアを見る。
やっぱり「飛翔」と書いてある。
もう一度ドアを開けて
「あんた誰!?」
叫びにも似た質問。
返ってくるのは銃声と銃弾。
「…メダロット三原則があるんだから人に向かって撃つなよ!」
もう一度叫ぶ。
今度は返事が返ってきた。
「うっさい!」
とだけ。
メダロットに相手にされないのを少し悲しくなってくるのを感じながら腕のメダロッチにクリアカード…
メダルのはめ込まれた透明なカードを指し込み、呼ぶ。その名を。
「来い、ジョーカー!」





ちゅんちゅん
窓の外で小鳥の囀りが響く。
太陽の光が眩しく、うっすらと眼を開ける。
「ふぁぁ…もう朝…」
布団の中に包まろうとして、いつもよりも敷布団が硬いことに違和感を覚える。
「…やっと起きたか…」
部屋の端っこから疲労感たっぷりの男の声がする。
聞いたことも無い、父親とも違う声。
思いっきり布団をふっとばし、数歩後ずさって壁に張り付く。
「…あんた誰!?」
こっちが聞きたいよこの野郎的なオーラを発しつつ、とりあえず質問に答えとこうかなと思う。
「俺は…この部屋の主って言ったらいいのかな?とにかく、それ。名前は、飛翔 紅(ひしょう くれない)」
見た所、疲れてるせいかやけに老けて見えるがそれを除けば歳は20前後か。
赤い前髪は目に掛かるかかからないぐらい。
モミアゲを顎に掛かるぐらいまで伸ばし、その途中で左右にぴょんと宇宙アンテナが跳ねている。
後ろ髪も首を隠すぐらいまで。
目つきはそんなきつくはないが、疲れてるせいかクマが出来ている。
「んとね、私、鈴。神龍 鈴(しんりゅう りん)」
やけに明るく自己紹介。
青い髪は長く、頬の辺りで下に伸びるモミアゲを整えている。後ろ髪も長く腰まで伸びている。
紅「はいはい、鈴ちゃんね。どうして俺の部屋にいるんだ?」
疲労感が脱力感に代わって行く感じがする。
サマを打つわけではないが、ここはなにか自分にとって不都合なことが起きる。
賭けても良かった。
鈴「おめでとう!今日からここは我々革命軍の本部になりました!」
賭けに勝った。おめでとう飛翔君。
とても本人にとっちゃおめでとうなんて言っている状況ではなかったが。
紅「…ハァ?」
とても間抜けな顔とそれに負けないぐらい間の抜けた声。
鈴「だーかーらー今日からここは革命軍の本部になりました!」
相変わらずニコニコ屈託の無い笑みを浮かべながら言いやがった。
紅「…俺は疲れてるんだな…そうだ…そうに違いない…でなきゃ平和な今の御時世に革命なんて起こそうとしてる奴がいるわけがない……ジョーカー、戸締り頼む。大学行ってくるわ…電気は消しとけよ…」
額を抑えながらバックを持ってふらふらと家から出ていく。
疲労感を打ち消すぐらい頭が痛かった。
鈴「?」
その理由を当の本人は理解していないようだが。



ぐおー、がしゃ。
コピー機の音が響くキャンバス。その前に立つ紅。
紅「ふあぁ…終わった終わった」
盛大なあくびをしながら、友人のノートをコピーする。
講義中はずっと寝ていたのである。全然寝れなかったから。
コピー機の音が止まる。
印刷されたのがすべてであるか確認した後、後ろに控えてた友人にノートを返して別れる。
キャンバスを出口に向かって歩きながら、今日の予定を考える。
紅「今日の講義は終わった…」
呟く。いつもなら家に速攻で帰って寝る。
選択肢は一つだが…不確定要素によって選択肢が増えた。
紅「…家に帰りたくない…」
それでもやっぱり選択肢は一つか。
紅「手品研でも出るか…」
眠そうなあくびをもう一つして、ダルそうに歩き出す。サークル棟へと。

かんかん規則正しい音をさせて階段を昇り、一番奥の部屋へ。
ドアを開けて中を見ると外を見てぼんやりしている水色の髪の女性。
紅「どうもー」
ドアが開いた音に気付かなかったのか、その声にビックリしてこっちを振り向く。
「あ、久しぶり―。どう、手品は?」
この人は紅の先輩、音無 斬【おとなし ざん】。
額の前で髪を左右に分け、上にぴょんぴょんと二本、アンテナみたいに髪が飛んでいる。
紅「んー…まぁまぁッスね」
それだけ言って周りを見まわす。本来あるべき姿が、そこに無い。
紅「部長とかどこに行ったんですか?」
バックを机の上に置く。
斬「あー、サークルバトルがあるって行ってでてっちゃったよ―」
相変わらず間の伸びた声で返す。
紅「へぇ…」
興味無さげに呟いて、たっぷり3秒後。
紅「って、行かないと駄目じゃないですか!」
説明しよう!
サークルバトルとは最高20対20で行われる大規模ロボトルのことである。
サークルのメンバーの中から最高20人まで選べ、また部外者も3人までそのメンバーにいれることができる。
特にロボトルの途中から入っちゃ駄目というルールはないため、増援という作戦も取れる。
ロボトルなので賭けるわけで…その賭けの対象は部室。
なので主に部室を持ってないサークルが持っているサークルに勝負を挑むことが多い。
ただ持っているサークルが領土拡大のため別の部室を持っているサークルに挑んでもよい。
斬「紅君が来るまで待ってよ―かな―と思って」
のんびりといった後椅子から立ちあがる。
紅「俺が来なかったらどうするんですか!早く行きますよ!」
斬の手を引いて、サークル棟を駆け下りて思いっきり走る。