最強のメダロッターは誰か?そんな事をお考えになった人もいるのではないのでしょうか?今、ここに最強の称号を手に入れんとするもの達が集まる!

王者決定戦!2167年メダロットドーム杯、開幕!!


 

〜最強への道〜

 


TVのCMで流れている。それを見てる某人物。

「さて…これを利用しない手はあるまい…くっくっく…」
手に持っていたワインを飲み干し、椅子に深く寄りかかった。

同じ時刻、神龍家。

ごひいきのアニメ番組のあとにやっていたそのCMを見てた一同。
リオンS「ん〜、人が沢山来るだろうな…やめた。」
暇そうに床にねっころがる。不貞寝に感じるのは気のせいか。
リオン「んじゃ、ウイングは俺とな。」
リオンSからメダロッチを受け取り、左腕にはめる。
ウイング「どぉでもいいけどさぁ、人たくさん来るんだろ?そんななかで動けるのか?」
リオン「心配御無用。そんなお前のためにこのパーツを。」
渡されたのは紙袋。中身を取り出してみれば9連ミサイルポット、3連レーザー、4連ミサイルランチャー。
ウイング「相変わらず変なもの作るな。で、これをどうしろと?」
リオン「こうするんだよ。」
それぞれを掴み、ウイングの左肩に9連ミサイルポット、右肩に3連レーザー砲、左前腕部に4連ミサイルランチャーをとり付ける。
ウイング「…なんか重くないか?」
リオン「気にするな。あと、ライトニング用のフル装備パーツも作ったんだが…いるか?」
そばに座っていたライトニングに目をむける。
ライト「いるに決まってんだろ!ボケェ!!」
リオン「きれんなよゴルァ!」
同じように紙袋から取り出し、ライトニングの背中にユニットをはめる。ニ連式のF91のヴェ○パーとでも言おうか、そのユニット。
ライト「おお!なんかカッコイイぞ!」
飛び跳ねて喜ぶが、ボディが重いため床がミシミシいっている。
瑠璃「うっさいわよ!静かにしなさい!」
ブラスト「レー
ザーで撃ちぬきますよ?」
下の住人からの苦情。

鍬利家

同じくそのCMを見ていたこの二人
ハヤト「…出るか?」
エクス「…もちろん。」
何処となくダークなムード。

海家

ここでももちろん。
流「すげぇ…」
ファイア「賞金はいくらだろ?」
おいおい。 

 

某宅

「なあ、でよっか、シヴァ?」
シヴァ「ん?いいんじゃねえの。」
青い、シヴァと呼ばれたメダロットがメダロッターの呼びかけに答えた。

 

メダロットドーム

実況者「さぁ、やってきましたメダロットドーム杯!日本全国からメダロッター達が我こそ最強といわんばかりにここメダロットドームに集まってきました!」
高い場所に設置されたスピーカーから解説者のうるさい声が響く。
リオン「さて、ひっさしぶりだなぁここ。覚えてるか?ウイング。」
っていうか右を見ても左を見ても、何処を見ても人、人、人。うんざりするぐらい人。
ウイング『忘れた。』
流石に人が多いので今はメダロッチの中。他の二体も同様。
龍祐「すごいひとですね。迷子になりそうですよ。…わっ!」
前から歩いてきた同い年ぐらいの少年にぶつかる。
「つつ…ごめん、怪我は無い?」
しりもちをついていたが立ちあがり龍祐の方へ歩いてくる。
龍祐「うん…大丈夫。君こそ怪我は無い?」
同じくしりもちをついていたが、少年の手を借りて立ちあがった。
「大丈夫。」
『ほら、早く行くぞ。』
左腕のメダロッチからの声。どうやら男型らしい。
「うん、じゃあね。」
軽く別れの挨拶をする。
龍祐「じゃあね。」
同じように挨拶をする。

「なあ、マグナス。」
少年はメダロッチの中にいる、相棒に話しかけた。
『なんだよ。』
どうやら、男型のようだ。
「お前、変わったな。」
数ヶ月前はとても、生きる価値も見出せない…一種の自殺願望者に近いものであった。
『うるさい。』
しかし、今は違う。変わった事は、一つだけだった。
まあ、ここで語る必要はないだろう。歴史が答えてくれるから。
『レディー―――――――スエー―――――ンドジェントルメ――――――ン!これより、メダロットドーム杯を開催しまー――――――ス!』
スピーカーから流れてくるはた迷惑なほどの大きな声。
『ルールは簡単!敵を倒せ!いわゆるバトルロワイヤル!さあ、ドームの中で存分に暴れるがよい!ロボトルファイト!』
わぁぁぁ!という掛け声にも似た声と共に所々に設置されたドームの入り口に入っていく。いや、突っ込んでいくといったほうが明確か。
リオン「なあ、レイス。こういうのって人の波に流されてるって言うのかな?」

文字通り流されている。地に足がついていない。
レイス「さあ?」
とりあえずリオンの首根っこをつかみ、上へジャンプ。ビームリボンで飛行メダロット数体を切りつけながら、ドーム内部に増設された森のようなところへ入っていく。
『え〜っと、ここまででの脱落者は三割程度だ。結構多い方じゃないか――――?一応ルールの説明をしておこうか!このドームの中には8つのエリアが存在する!そして、戦い、闘い、戦い抜いた30名が、中央フィールドで闘い、王者を決める!』
一旦ドームの天井を見上げ、自分の愛機達を見る。
リュー「俺は単独行動をとる。必要なときは呼んでくれ。戻ってくるから。」
レイス「そんじゃ私も。」
待てやというまでもなく森の中に消えていった。早いなぁ。んで、俺のところに残ってるのはウイング。こいつだけ。
ウイング「俺は――――行かない。」
リオン「それは助かる。…っと、早速来たぜ。ロボトル中みたいだ。」
木の間を走りながら、睨み合う二体のメダロット。
ウイング「違うみたいだ…標的は、俺か!」
肩の三連レーザーを発射。木をつきぬけ、片方のメダロットをふっ飛ばす。
リオン「上、反応弾!」
敵のほうを向かず、反応弾を打ち出す。ギャ、という声と共に落ちてくるメダロット。
ウイング「結構近いな。」
落ちてきた敵を見下ろしながらウイングが呟く。
リオン「何が?」
ウイング「敵、3…4体か。」
たしかに、ちら、ちらと森の奥の方で、メダロットの瞳が見える。
リオン「なるほど。でも、もっと多くないか?普通。あんなに人いたんだし。」
彼は気付いていなかった。このドームが見た目以上の大きさであり、島一個分に近い大きさである事を。
ウイング「そうだな…変な事だなぁ。」
リオン「そんじゃま、行きますか。9連ミサイルランチャー。」
一歩下がり、辺りのメダロットを見まわす。
ウイング「いっけぇぇ!」
ウイングの左肩のミサイルランチャーが火を吹いた。

 

少し時間が経った時、街中エリアで戦闘が繰り広げられていた。
「マグナス…くるぞ…」
茶髪の少年、拓斗 翔(たくと かける)とその少年のメダロットKBT-11 サージュリス。みかん色をしたメダロット、”マグナス”。
マグナス「ああ…」
背中に背負った、自分の力の化身――――大剣の柄に手をかけ、抜き放つ。
二等辺三角形のフォルムの剣、刃渡りは少ないが、よく光っている。材質はこの世界ではMFを通さぬものとして忌み嫌われてきた鋼。その中心に輝く、逆三角形の蒼い石、ルーンストーン。それが彼の生きる”力”。
飛びかかってくる、赤いメダロット。フォルムからして恐らくCAT型であろう。
翔「右…右…左!」
彼の言うとおりにステップを取るマグナス。CATの攻撃を見きってるかのようによけている。
「和紙、何やってるの、しっかり当てなさい!」
声からして、焦っているのは目に見えている。
「わかってるよぉ!」
真っ直ぐ、単調に飛びかかってくるCAT。あまりロボトルの経験はないと見える。
翔「…今だ!」
強く、柄を握り、上に振り上げる。
マグナス「真空、縦一文字切り!!」
向かってくるCATに向かって、1メートル近い大剣を、汚れなき太刀筋で振り下ろす。

――――――サァァァァァン!

小気味の良い音がし、CATの頭部パーツが一刀両断され地に落ちる。
マグナス「ふぅ…なかなか疲れるぜ。」
剣を鞘にしまい、また歩き出した。 


岩場エリア

「シヴァ!」
シヴァ「あいよっと!」
右腕の剣を振り上げる。なんとか相手の腕に当たり、よろめかす。
よろめいたところを見計らい、戦線を離脱する。
そして、彼らの姿は、岩場の影に消えていった。
「ふぅ…たいへんだなぁ。生き残るのも」
彼…安堂  巧(あんどう たくみ)が呟いた。
シヴァ「俺としてはやられても良いんだが。」
巧「それはこまるなぁ。」
苦笑いをし、立ち止まる。
シヴァ「どした?」
緊迫した雰囲気というのは苦手なようで、マスターに話しかける。
巧「いや、近くで…ロボトルしてる。」
その瞳は遥か遠くの方を見ている。


同じように岩場エリア

「このやろう!」
蒼いメダロットが脇のビームキャノンのビームを放つ。
頭部に当たり、吹き飛ぶ相手。
このメダロットの名はライトニング。後に雷鳴の槍使いと呼ばれるメダロットである。
「もういないみたいだね。」
メダロッターの名は神龍 龍祐。温厚な性格で敬語で話す。最近は少し性格が変わったようだ。
ライト「ナース、そっちは大丈夫か?」
ビームキャノンを背中に戻す。
ナース「うん、大丈夫。」
右腕が索敵用のパーツに変わったブレイブナース”ナース”。
龍祐「まって…向こうから誰かくる。」
ライト「…龍祐、逃げよう。ここで無駄に弾を減らすわけには行かない。それに、他の奴らも俺らがここにいることに気がついてくるはずだ。」
龍祐「そうだね。行こう。」
なるべく早く、その場を後にした。

 

氷河エリア

「まいったなぁ、おい。」
鶏頭の少年が呟いた。
「まったくだ。どういうことだ。」
白きクワガタが攻撃を受け流しながら呟いた。
彼らは今、乱戦の真っ只中にいた。
右を見ても、左を見ても、人とメダロット。抜けだそうにも抜け出せない。
ハヤト「仕方ない。一点集中、強行突破だ!」
エクス「了解、マスター!」
ビームブレードを構え、メダフォースを貯め始めた。
ちょうどいいかな、と思いハヤトは指示を出す。
ハヤト「いっけぇ、鳳凰飛翔閃!」
エクス「おおお!ファイアァ!!」
炎の鳥が、フィールドを駆け抜ける。炎に包まれ、燃えつきて倒れるメダロット。
乱戦の合間に真っ直ぐな道ができ、急いでハヤトは駆け出す。
ハヤト「まったく、酷い目にあった。」
別に埃はついていないが軽く袖をはたく。
エクス『おおい、ちょっと指示をくれぇ。』
メダロッチを通しての声。普通の声も聞こえるので近くにいるのだろう。
ハヤト「ロボトルか?忙しいな。」
エクス『そうなんだよ。しかも相手はファイアときたもんだ。』
ハヤト「じゃあ指示はいらないんじゃないのか?」
あたりを見まわすと、氷山に反射した、ファイアの赤いボディが見えた。
流『てめぇ!ふざけるなぁ!』
今度は流の怒号が聞こえる。そのおかげで、なんとかエクスを視界に入れることができた。
ハヤト「やれやれ…エクス、対射トラップ設置。」
ファイアの攻撃を辛うじて受け流している。
エクス「おう!」
エクスの胸部から、半円状のものが転がり出て、電磁フィールドを成形する。
うまい具合に火炎弾、通常の弾丸がそれにあたり、ファイアの角、両腕の射撃武器が無様に爆発する。
怯んだ隙を見逃さず、一気に距離を詰め寄る。
真っ直ぐに前に飛び、オウギーを展開せず振り上げる。
着地と同時に一閃。ファイアの胸部からオイルが吹き出て、エクスにかかる。
オイルを全て出し終えファイアが倒れると同時に、流の姿が消える。ドーム外に追放というわけだ。
エクス「あーもう!俺のボディがオイルだらけになったじゃねぇか!美白には人一倍気を使ってるんだぞ!」

 

「どうやら…いなくなったみたいだな。」
シヴァ「ああ。っと、またお客さんだ。」
岩の間を縫って走る影。岩の上のほうからもメダロッターらしきものが現れる。ポーズをつけながら。
「…特撮ヒーロー?」
シヴァ「アホ言ってないで指示をくれ。」
右腕のソードを戦闘用サイズに伸ばす。天井のライトで煌く剣。
「右!」
陰の動きを見極め、叫ぶ。
シヴァ「おうよぉ!」
右から飛びかかってくる影。真っ直ぐに突っ込んでくるのでシルエットだけ見るとNIN型かもしれない。
「忍!速攻だ!」
「はい!」
右腕を後ろに引き、突き出す。とうやら拳系らしい。
それを難なくかわし、すれ違い様に忍の胸部にソードを突き刺す。
ポタポタと滴るオイル。忍のバイザーから光が消え、首が項垂れている。
シヴァ「ふぃ、全く。休みが欲しいな。」
なるべく気付かれ無い様に岩陰に腰を下ろした。

 

「まいったなぁ。リオン君に会いに来たのに。」
「リウ、このエリアにはいないんじゃないのか。」
メダロッターの名は安藤 リウ。もう30越している。オジサン。
メダロットの名はテムジン。KBTに近いフォルム、格闘型である。因みに今彼らがいるのは砂漠エリア。
リウ「もう俺も若くないし、どうしよう。」
テムジン「あの人に聞いてみよう。」
アリ地獄を挟んで戦闘してるSAVサイバーポリスとKWGテイルスタッグ。
「メタビー、ショットライフル中心で行け!」
「テラカド、回避重視だ!」
見たところ射撃型のメタビーが有利か。しかしテラカドも手裏剣らしきものを投げて応戦している。
テムジン「倒しちゃっていいか?」
リウ「片方だけだ。もう一人の方に聞かなくちゃ。」
テムジン「わかってる。」
右腕の装甲が開き、棒状のユニットが伸びる。それを左腕で抜き、スイッチらしきものを押す。
棒の先から伸びる光の粒子。ビームサーベル。
テムジン「いくぜ!」
テラカドに向かって駆ける!
対峙してたメタビーから視線を外し、テムジンを見る。
速かった。テムジンは。
応戦する間もなく、通りすぎ様に腹部に剣が伸びる。
少しの抵抗こそあったものの、横に真っ二つに切られる。切り口がオレンジ色に燃えていたが、地面に熱を吸収され黒く焦げる。
メタビー「は…速い…」
サイバーポリスのモノアイは瞳の出ないタイプなので、表情は分からないがとにかく驚いているようだ。
リウ「ちょっと君。」
「なんですか?」
答えたのはメタビーのマスター、恭治。
リウ「神龍リオンって人を見なかった?」
恭治「さっき森エリアにいましたよ。」
リウ「ありがとう。」
ポケットから見取り図取り出しを広げる。
ドーナツ状になっており砂漠エリアから森エリアに行くには間の岩場エリアを通過しなくてはならない。

メタビー『なぁ恭治。撃っちゃってもいいのか?』
恭治『問題無い。ロボトルは最初からはじまっているからな。』
おもむろに右腕の銃をテムジンに向ける。
テムジンはそれを気付かないように見えた。ビームサーベルを持ったまま上を向いている。
―――バァン!
メタビーの銃が火を吹いた。真っ直ぐに標的に向かって飛ぶ弾丸。
もらった。
メタビーがそう思った瞬間、彼の腹部に衝撃が走った。
見ればバチバチとスパークする自分の腹部。その中心に刺さっている槍状のユニット。
テムジン「奇襲は良くないぜ。今度はもうちょっとまともに勝ってみな、お二人さん。」
メタビーは薄れる意識の中でテムジンのその言葉を聞いた。

 

リュー「っと、相手がいないんじゃあしょうが無いな。」
先ほどからずっと歩いているのだがなかなか標的が見つからない。
リュー「その上データ採集されてるときたか。何か大きなことが起こりそうだな。」
更に歩いて行き、森エリアと岩場エリアの境目まで来る。
リュー「ここなら見晴らしもいいし、簡単に見つけられるだろ。…!?」
ビームが二本、前から伸びる。難なくそれを回避し岩陰に隠れ、索敵をはじめる。
リュー「…なるほど、ライトとナースか。」
岩を上から飛び越え、ナースに向かって刀を振り下ろす。
龍祐が気付いたときには遅く、オイルを吹き、倒れるナース。
刀をしまい、ライトニングのほうを見るリュー。
ライト「リュー、てめぇ!」
ショットライフルを連射するライトニング。
それを右に走って軽々とかわし、両腕の武装を展開するリュー。
龍祐「ビームソード、チャンソード展開!」
ライトの左腕から緑に輝くビームソードが、右腕からはチャンバラソードによく似たソードが伸びる。
リューの振り下ろしたクリスソードを右腕のソードで受け止める。
火花が散り、力の押し合いになる。

両者一歩下がった
そして互いに左腕を引き、相手に向かって突き出す!

相殺。

リューのハンマーは消滅し、ライトニングのビームソードが出なくなる。幸い、両者、腕自体の機能は停止してはいない。
近距離で動きを止める二体。
リュー「大分…レベルアップしたようだな…」
ライト「…ボディが…違うからな…」
肩で息をし、リューが刀を抜く、ライトが背中のビームユニットを構えた。
先に動いたのは…リュー。
刀を抜刀術の様に構え振り抜かんとする。
それを阻止すべくビームユニットのトリガーを引いた。
…ビームが一瞬遅れた。ライトニングの顔面に刀の刃が減り込む。ビームがリューを射貫いた時には遅かった。
宙を回転しながら舞う刀。
岩場に倒れる二体のメダロット。地面に刺さる刀。宙を舞う、銀色の翼。緑色の龍。
そして、彼らの姿はドームの中から消えていった…

 

シヴァ「どこどこ〜♪」
氷の世界に、彼の声が響く。まるで取り残されたかのように周りにはパートナーと、氷しかない。
巧「歌ってる場合じゃないよ…」
ぐるりとあたりを見まわすが、敵の姿は見えない。
巧「おっかしいなぁ、確かにさっきこっちに何か来たんだよ。」
シヴァ「気のせいじゃないか?行こうぜ。あんまりここの空気は好きじゃない。」
氷の上には多量のオイルが飛び散っている。それは一体分だけではなく、数十体のものとしか言いようが無いほど、多かった。
巧「なんだか、すごいことになってたみたい。早く行こう。」
ずっとここにいれば、自分は殺人鬼にでもなれそうだとも思えた。
…かつての相棒のように。
暴走し、町を破壊した、あのときの相棒のように。
シヴァ「…俺は、もう大丈夫だから。あの時みたいな力は、もう無いからな。」
ぶっきらぼうに答え、先に進んでいく。
巧「…ありがとう。」
彼の一言で、自分がはっきり元に戻った。そう、自覚できた。

 

 

リオン「4連ミサイル!」
ウイング「あいよ!」
左腕を前に突き出し、ミサイルを撃ち出す。
木々の間を縫い、前方のメダロットに二発直撃。そこを別のメダロットに止めをさされる。
ウイング「あちらさん、ずいぶんと頭がいいな。うちらに倒させていいとこだけを持っていく。そしてこの森の中じゃかくれる事は容易だからな。」
リオン「あとは残りが30人まで待つだけ、と。」
ウイング「…テムジン!」
森の奥を見て、そう叫んだ。
リオン「へ…?テムジン!?」
肉眼では、捕らえられない範囲なのだろうか。リオンには確認できなかった。
リオン「テムジンって、リウさんのだろ?」
ウイング「ああ、もうすぐ肉眼でも確認できるはずだ。」
リオンは目を凝らして、ウイングのずっと見ているほうを見た。
木々の間から見える白い、KWGとKBTをごちゃ混ぜにしたようなデザイン。それは、真っ直ぐにこっちに向かって走ってくる。
ウイングが3連レーザーを放つ。木を突き抜け、真っ直ぐに走る光。
容易にそれを避け、高く、美しく舞う。天井のライトの光で、テムジンの白いボディが影になり、黒くなる。
射撃から見れば、空の敵は絶好の的。
体中の火器を全て、テムジンに向け…一斉射撃!!
ミサイルが、レーザーが、反応弾がテムジンに向かって走る。発射した代償として、各パーツに熱が溜まる。それに耐え切れず、追加パーツをウイングは全て外した。 

テムジンは右腕で左腕のジャベリンを引き抜き、左腕で右腕のビームサーベルを抜き放つ。
ビームサーベルでミサイル郡を切り裂き、その爆風でレーザーをかわす。そして目標へまっしぐら!
テムジン「おおおお!」
ジャベリンを落下速度をさらに便乗し、ウイングに向かって突き刺す!
左腕のまん真ん中で、それを受け止めるウイング。
テムジンに刺された腕が痛々しくスパークしている。
ジャベリンを放し、ウイングの無事な右腕での射撃をよけ一旦距離を取る。
そして、ビームサーベルでウイングを指す。
テムジン「さあ、かかってこい!」
左腕に刺さっていたジャベリンを抜いて、投げ捨て、吠える!
ウイング「今日こそ…あんたを超えて見せる!そして、俺の力を証明して見せる!!」
いつのまにかテムジンの後ろに、リウがメダロッチを構えて立っている。
それに合わせるかのようにリオンも右腕の、翼の模様の入ったメダロッチを構える。十数年前の彼に出会った日をリオンは懐かしく思えた。
リオン「ウイング!」
リウ「テムジン!」
リ&リ『GO!』
ウイングがライフルを放つ。それを切り裂き、それが出来ないものは避け、ウイングに向かって走る!
テムジンがビームサーベルを振りぬく。それを頭部のリフレクトミラーで受け止め、最後の反応弾を撃つ。これで射撃武器は、右腕のあと数発のライフルだけ。
反応弾が一発、真ん中から斬られて地面に落ちる。しかし、もう一個の反応弾はテムジンを捕らえていた。狙いは僅かにずれたが。
テムジンの左肩が爆発する。爆煙が広がった。テムジンの左腕がだらんとだらしなく下を向いている。機能停止だ。
リオンの指示が飛び、ウイングの右腕がモードチェンジする。銃口が奥へ下がり、腕の蓋が上がり、手の平のレンズから光の膜が広がる。リフレクターナックルと呼ばれる。バンガードビートルだけの特権。
テムジンが剣を構える。ウイングが拳を引く。
テムジンの剣が、ウイングの光の拳が…

激突!

森の中に、光が走る。己の意地のぶつかり合いの光が。
まるで固まったかのように動かない2体。両方とも足が地面に減り込んでいく。力は…互角!
ウイング「おおおお!」
テムジン「はああああ!」
テムジンが軸を少しずらした。拳が流れ、虚空を切り裂く。剣が空を泳ぐ。
もらった。テムジンが心の中で呟いた。返し刃でウイングの背中を切れる。そう確信した。
すぐに剣を振り返す。このまま行けば完全に切れる。しかし、事はテムジンの思惑通りには運ばなかった。
エアーブースターで剣の軌道から下に外れ、そのまま反転。右腕のライフルモードの44マグナムが火を吹いた。それはテムジンの手から剣を弾くにはあまりにも容易なことだった。
銃弾に弾かれ、地面に転がるビームサーベル。しゃがんだ状態から44マグナムを構えてるウイング。膠着状態が続く。
リウ「少しだけ、待ってくれないか?」
ふぅ…とため息をつき、腕を下ろして立ちあがるウイング。
リウ「ウイング君、強くなったね。リオン君、これを君に。」
リウが、小さなモノを二つ投げた。それて受け取るリオン。
リオン「メモリースティック…?」
手の平に乗った白と黒のそれを見て呟く。
リウ「爆弾にでも見えるかい?」
リオン「いや…」
リウ「それは白いほうが”VB”、黒いほうが”WS”の進化型のデータが入ったものだ。メダロッチに入れ、データをダウンロードすれば転送できるようになる。」
リオン「進化型…?」
リオンの言葉を無視するように、ウイングを急かす。
リウ「さあ、止めを刺してくれ。ウイング君。」
テムジン「そう言う事だ。早くしろ。」
ウイングの方を見る。
ウイング「テムジン…あとで決着つけようぜ!」
一度うつむいたが、決意を固めた瞳でテムジンを見、彼に向かって44マグナムをむける。

パァン。

乾いた銃声が森に響いた…

 

「ほう…安藤が落ちたか。」
「そうみたいね。後は愛弟子に任せるって事かしら。」
「たとえ神龍家の人間であろうと我々に勝てるはずがないさ。この””にね。」
闇の中で煌く紅い宝石。それを胸部に携えた、大型のなにか…。
目覚めのときは近い。

 

マグナス「いいかげん終わらないものか?」
開始からすでに数時間が経っている。
翔「仕方ないよ。あれだけの人の数だもの。俺らから動かないとしょうがないさ。」
マグナスが背中の剣を抜く。自分だけの爪牙を。
翔「その剣、最初の頃はあんなに小さかったのに。」
マグナス「まぁ俺にかかればこんなもんよ。」

翔「さあって、もう一踏ん張り。いくぞ!」
新たな襲撃者を察知し、メダロッチを構える。
コンクリートの地面を踏みしめ、敵に向かってマグナスが駆け出す。
「ドライヴ、来たぞ!」
金髪の少年、牙島 禮(きばじま らい)が叫ぶ。
「はいッ!」
その相棒のJET、ドライヴが右腕のライフルを構え、撃ち出す。
マグナスは当たりそうな弾丸は全て切り落とし、そうでないものは避けきる。
禮「(形状から見てKBTか…射撃じゃないって事はなさそうだな。銃口ついてるし。)」
ドライヴ「マスター、指示を!」
禮「え…あ、と。」
指示が遅れたその時、マグナスがドライブの前に現れた。
マグナス「おっそぉぉぉい!」
大剣を縦に振り下ろす。
右に一歩ずれ、それを回避するドライヴ。
零距離に近い状態で左腕のライフルを撃ちこむ。
マグナスの腹部に弾丸がヒットする。
禮「そのまま押しきれ!」
ドライヴ「はい!」
射撃を止め、両腕でマグナスを突き飛ばす。
翔「…は?」
禮「…え?」
ドライヴ「今”押せ”って言いませんでした?」
禮「言ったには言ってけど…」
マグナス「隙有りッ!」
ドライヴの腹部を大剣が裂いた。
どさりと倒れ、背中からメダルを射出する。
マグナス「なぁ…一つ聞いていいか?」
マグナスはどうしても聞きたい質問があった。
禮「何?」
マグナス「お前らお笑いコンビか?」
禮は思いっきりずっこけた。

 
エクス「ハヤト、なんかいたか?」
ハヤト「なんにも。」
かれらは今、草原フィールドにいる。二脚としては最大限にその力を発揮できるフィールドだからだ。そんでもって草以外障害物になるものが無い為、見晴らしが良いためである。
ハヤト「風が気持ちいいな。」
深呼吸をし、周りを見まわす。誰もこない。そう思った瞬間だった。
エクス「きたぁ!」
真上から降ってくる雷鳴の虎。
ハヤト「上からか…対空剣技!」
すばやくメダロッチを構え指示を出す。
エクス「昇竜斬!」
一回転して上に剣を突き出し、回りながら飛ぶ。
ショウ「対地剣技!」
対抗するかのごとく指示を送る。
イエーガー「そんなのありません。」
エクスカリバーのビームブレードに対しソードを合わせ、回転を利用して回り、着地。
エクス「かわされたか…」
ハヤト「まぁそんなもんだ。」
飛びかかってくる猛虎の攻撃を避け、背中のシールドに手をかける。
シールドを抜き取り様にそのままイエーガーの後頭部に振り下ろす。
ゴン!
かなり鈍い音がし、イエーガーが倒れる。
背中のメダルカバーが開きピィンと高い音がしイエーガーのクワガタメダルが射出され、草の上に落ちる。
ショウ「そんなのありか?!」
驚愕の表情。
ハヤト「ありだ。」
真剣な顔。
エクス「またまた俺の勝ちぃ。」
背中にシールドを戻し、毛伸びをする。便利な盾だな
ショウ「鍬利!よく覚えとけ、俺はまだミナちゃ…
最後まで負け惜しみを言えず彼の姿は虚空へと消えていった。

 

「こんのお!」
レイスのビームリボンが地に当たり、土が焦げる。
岩場エリアでピンチになっているメダロットを救いに入ったが、囲まれてしまったというわけである。
レイス「しつこいのよ、あんたら!」
その場で一回転、ビームリボンで攻撃と近寄ってきたメダロットを弾く。
「お嬢さん、手伝いましょうか?」
遠くからの声、少なくとも近くは無い。このままでは多勢に無勢。負けることは火を見るよりも明らかである。
レイス「そうしてくれると助かる!」
提案を受け入れた。前のメダロットの頭を踏んづけ、助けたメダロットを投げ飛ばす。
ビームリボンを縦に振るい、目の前に飛んできた格闘メダロットを斬りつける。
着地し様と下を見たとき、自分の下に立っていたメダロットに閃光が当たり、吹き飛ぶ。
レイス「どうもッ!」
着地と同時に前に向かって思いっきり駆ける。目の前に立つワインレットのメダロットが、あとは任せろと言わんばかりに両腕の武装を構えているからだ。
閃光が自分の後ろのメダロットを貫いていく。それほどまでに正確な射撃。
数分後、レイスを囲んでいた群の姿は全て消えていた。
レイス「ありがと。私の名前はレイス。」
軽くお辞儀をする。
「いいえ、お嬢さん。礼をされるような事をしたわけではありませんから。あ、私の名前はヒュ―ル。」
ワインレッドのメダロット、恐らくRAY型であろうメダロット答えた
「そうだよ、こいつ君の事が気に入っただけみたいだから。」 
そのメダロットのマスターらしき人物が答えた。歳は見た感じ小学6年生ぐらいかもう少し上かといったところ。
ヒュ―ル「ま、マスター、そんなこと…」
核心を突かれたのか、後ずさりする。
「どおかな?ほら、体が赤くなってるよ?」
そんな彼をからかうマスター。
ヒュール「もともとです!」
レイス「ん〜、そんじゃ!」
呆れてその場を去ろうとする。
『え!?』
口論を一旦止め、レイスのほうを向く。
「ちょっと待って。しんりゅ、知ってる?」
レイス「神龍ったってどの神龍よ!ド○クエ?」
「違うよ!しんりゅ りおん!」
レイス「リオン?…もしかして、あいつに用があるの?」
「うん!あいつとロボトルしたいんだ!」
レイス「ん〜多分森エリアにいると思う。こっちからじゃあっちの居場所わかんないのよ。あと、あいつのところにはウイングしかいないはずよ。」
ヒュール「それではお嬢さん。これが終わりましたら是非…」
「いくよ、ヒュール!」
少年は駆け出していた。
ヒュール「待ってください、マスター!」
「あ、」
立ち止まり、レイスのほうを向く。
「僕の名前は、淳志。覚えておいてね、レイス。」
レイス「気が向いたらね。」

 

『もっしもーし、皆さん、聞こえていますか?こちらの集計によると残った人数はあと32人!決勝に残るにはあと二人倒すのだぁぁぁぁ!!』

 

巧「聞こえた?シヴァ。」
シヴァ「聞こえてる。あとふたりったって何処にいるもんかね。」
「その役、お主に任せようぞ!」
『はぁ?』 
まだ氷エリアにいたのですぐにその正体が分かった。氷のようなカラーリングのKWG、フリーズ。
「ロボトルはもうはじまっている!」
なんの合図も無くいきなり飛びかかってくる。
巧「シヴァ、回避!」
フリーズのソードをかわし、右腕のソードを戦闘用サイズまで伸ばす。
シヴァ「不意打ちなんて卑怯だろ!」
「さっきそいつが言っただろうが!ロボトルはもうはじまっているって!」
メダロッターらしき人物が答えた。
巧「このままじゃきついかな?…そろそろあれ使うよ!」
シヴァ「おうさぁ!」
左腕の刃のホールドが外れる。フリーズに向かって右腕の刃を前に突き出し突っ込む。
シヴァ「飛○閃!」
巧「違う違う。」
それをかわし後ろをとるフリーズ。
シヴァが右足をつきブレーキをかける、そのままフリスビーを投げるようにして左腕を振る。
左腕の刃が飛んだ。否、鎖でつながれている。鎖鎌。
鎖がフリーズの身体に巻き付き、動きを封じる。
右腕の刃で、動けないフリーズの顔面に

一撃。

鮮やかにオイルが飛び散り、緩んだ鎖の間から、金色のメダルが転がり落ちた。

 

「のこり31人、さあ誰が落ちるか〜!」

実況者らしき人物が、館内放送で残り人数を伝えた。

 

「そうか、そう言う事か。」
天井を見上げながらリオンが呟いた。
ウイング「何がだよ。」
リオン「リューのいっていた事がようやく理解できた。」
ウイング「だからなんだよそれが。」
リオン「リューはこう言ってた。”データ採取されてる”みたいな感じで。」
ウイング「うんうん。」
リオン「でっかい事が起こるぜ。もうすぐ。」
左腕のメダロッチをみる。現在のウイングの被弾状況を確認し、視線を前に戻す。左腕が機能停止、右腕の残り弾数もあと数発、反応弾は0、脚部もバランサーの状態が悪化してきている。
リオン「お客さんが来たようだな。…持ちこたえてくれよ。」
ウイング「俺を誰だと思っている。嘘と冗談をこよなく愛する最強のメダロットだ。もし、万が一に俺がやられてもレイスがいるはずだろ。お前が追い出される事は無いはずだからな。」
レイスを信頼してないわけではない。しかし、ウイングが、とても信頼できた。ウイングがいる限り負けたくない。
リオン「そうだったな。いくぜ、ウイング!」
ウイング「任しとけ!…なんだ、お前か。」
茂みから出てきたワインレッドのボディのメダロット。ヒュール。
「久しぶりに会った相手にお前とは何処まで失礼な奴なんだ!」
指が無いので腕でウイングを指す。
ウイング「相変わらず変な奴だな。」
肩をすくめ、うすら笑いをする。
ヒュール「変なのはお前だ!」
「しんりゅ!久しぶりだね!」
青い髪をした少年。
リオン「お前もここにきてたのか。淳志。」
頭を掻きながら。
「うん。しんりゅ、勝負!」
リオン「ここで勝っても負けても、インターバルか。」
ウイング「出来れば勝ちたいところだな。下がってろ。」 

「神龍と風波か。これで災いの種が一つ消えたな。」
「それでも水の精霊神、エクスカリバーと鍬利。破壊の神、シヴァと安堂。鋼のカブト、マグナスと拓斗。それが残ってるわよ。」
「なに、奴らごときではとめれんよ。この幻夢(げんむ)は。」

「ロボトルファイト!」
リオンが叫ぶ。ウイングが林の中に走っていく。
淳志「ヒュール、追わないで。その場で攻撃!」
レーザーが木々を貫いてウイングにまっすぐ向かう。
ウイング「うわっち!」
横に飛び伏せ、それをかわす。
ウイング「どぉするよリオン!」
リオン「そうだな……ってのはどうだ?」
更に右に飛び、レーザーをかわす。地面が焼け焦げている。
ウイング「くっそう、フルの状態なら…」
リオン「だったら、今の状態でも勝てるように考えるのが俺の役目だ。とにかく今は逃げろ。」
ウイング「んな無茶な!」
更に林の奥に走っていく。
淳志「ヒュール、追って!」
ヒュール「はい!」
ローラーをかかとのおくに収納し、はしってウイングを追っていく。
リオン「(くっそう、せめてリフレクターさえ使えれば…テムジン戦でムキになりすぎたか…まてよ、たしかさっき拾ったアレなら…)」
メダロッチに向かってぼそぼそと呟くリオン。

それを頷き、指示を実行するウイング。

ヒュール「くそ、何処へ行った!」
先ほどまで見えていたのに、見失ってしまった。
淳志「すぐ傍にいるはずだよ!ちゃんと探して!」
リオン「(あとちょっと…)」
ヒュールが、ある木の下で立ち止まった。
がさり、木の葉がゆれた。
落下してくる、ピンクの弾と緑の光。
師匠の残したビームジャベリンを構え、落下してくるウイング。
ローラーを回して、避けようとする。しかし、ローラーが草に絡まり動かなくなっていた。まるで、幸運がウイング達を導いているかのように。
間一髪で、右腕でジャベリンの矛を受けとめた。
慌てて、左腕の標準が定まらないうちにレーザーを撃った。標準の定まらなかったそれは、ウイングの右頬を掠めるだけに過ぎなかった。
胸部への一突き。それが、止めの、一撃であった。

 

ハヤト「なんとか…生き延びれたな。」
かなり疲れた。といった感じである。
エクス「あぶねぇあぶねぇ。」
エクスのボディも所々ボロボロになっている。修理しなければ、ほとんど使えないような状況だ。
自動転送装置で、転送されていく二人。世の中便利になったものだ。

小さな会議室のような部屋。壁に貼られた紙に、パーツの修理、交換はこの時間だけ行えます。と書いてある。
リオン「バンガードビートルの進化型…これにかえるけど、良いか?」
ウイング「こんな状態でいるよりもましだ。」
右腕の弾もなく、左腕が機能していない。反応弾もない状況。
リオン「そうだな。」
白いメモリースティックをメダロッチに挿す。ダウンロードされていくデータ。メダロッチに表示された。Neo Vangard Beetelと。
リオン「リウさん…まだオリジナル作ってたのか。」
ウイングにそれを身に纏わせる言葉をゆっくりと、確かめるように口にする。
リオン「ブレードウイング、ネオバンガードビートル…転…送ッ!」
ウイングのボディが光に包まれてく。天に伸びた武き角、両腕の武装。そして背中の翼。白いボディに青のライン、両腕のライフルがレーザーに変わっている。頭部はKBTの切り札反応弾。バンガードビートルの名を告ぐに恥じない、その装備。
ウイング「すげぇ…この装甲の厚さでこの軽さ!すげぇ!」
それを満足そうな顔で見るとリオンはポケットから携帯を取り出し、何処かに電話をはじめた。 

 

ハヤト「このままじゃ整備が間にあわねぇ!」
エクスカリバーのボディ、ソードシザーズは何処にも売っていなかった。どうしてかと店員に問い合わせてみたが、いくら発注してもこないと返された。だから、予備がないのだ。
エクス「もういい。これでなんとかなる。」
よいしょと立ち上がり、右腕をひろい、腕につける。無理をしすぎた。とエクスは心の中で呟いた。
エクス「いこうぜ。」
光の挿しこむ、最終戦への入り口へ歩いていく。
エクス「ハヤト、俺が負けても、文句言うなよ。」
ハヤト「誰が言うか。」
その後に続いて、歩き出した。

 

「23…24…25…26…おっかしいなぁ」
会場に現れた人の人数を数えている。
「なにやってんだよ巧。」
巧「人数が足りないんだよね。30人って言ってたのに26人しかいないんだ。」
シヴァ「そら、確かにおかしいな。」 

「それでは皆さん、最終戦フィールドの説明をします!最終戦フィールドは廃墟!それでは…ロボトルファイト!」

会場にその声は大きく響いた。

「すげえセットだな。このビルのボロボロ具合なんかすげぇぜ。」
マグナスがビルをつついて見せる。ボロリとコンクリートみたいなのが欠ける。
翔「はぁ〜おどろきやねぇ。」
あたりを見回すと、左の上空に一体の白いメダロットが浮かんでいる。いや、正確には飛んでいる。背中の翼のように放出されるブースターで。
翔「あの飛んでるのはマグナスじゃ無理か…だったらあっちの方のかな?」
右側を歩いてる多脚型メダロット。オリジナルなのか原型が分からない。
マグナス「アレなら倒せっぞ。こっちに気づいてないようだしな。」
翔「ここから真っ直ぐ行くより、このビルの上から跳んだほうが気付かれにくいはず。」
マグナス「よし、分かった。」
ビルの内部に入って階段を上る音が聞こえてくる。あまり高くないビルなので、すぐに屋上に到達し、連絡が入る。
マグナス『ついたぞ。』
翔「うん、敵は幸いまだ気付いてないようだけど。油断しちゃダメだ。」
マグナス『分かった。』
敵がマグナスに向かって背を向けた。
それと同時に指示を出す。飛べ、と。
高く跳躍し、剣を振りかぶる。
マグナスが飛んでくるのを察知し、振り向く多脚。
その顔に縦一文字の文字が刻まれる。
前傾姿勢になり、背中からメダルを射出する多脚。
マグナス「ふぃ……………のわぁ!?」
それとほぼ同時であったフィールドに振動が走ったのは。


「風の貴公子…水の精霊神…破壊の神…鋼のカブト…重要なのはこれだけか…」
影が歩き出す。普通のメダロットに比べてそれは大きいなんて物ではなかった。大きすぎる。4メートルはくだらない。

 

ウイング「なんだありゃ?」
空を飛んでいる分、2脚よりも遠くまで見える。
リオン「なんか見えるのか?」
ウイング「ヴァーチャルアイ使ってみろ。」
右腕のメダロッチを操作し、B5サイズの画面を開く。そこに映るウイングの視界。そこには、大きな黒いものが映っていた。
リオン「なんじゃこりゃぁぁぁ!」
レイス「取り乱してる場合じゃないわよ。こっちに気付いてたみたい。」
それは初めの数歩は遅かった。4歩目、急激に加速する。
廃墟となったビルが踏まれてつぶれていく。
拳をウイングめがけて振り下ろす。
体制を大きく崩しながらもギリギリでかわすウイング。一回転して、地に足をつく。
虚空を切り裂いた拳は地面に亀裂を入れた。
リオン「なんだよ…この威力…」
亀裂を見ながら呟いた。
「カァーカッカッカッカ!神龍!どうだこの威力!」
廃ビルの上に立つ人影。紅いマフラーを風になびかせている。扇風機で。
リオン「…誰だ?」
「ワシはマボロシレッド!」
それと同時に後ろに更に現れる3人の影。
「マボロシグリーン!」
緑のマフラーをなびかせてるがっちりとした体格の男。
「マボロシピンク!」
ピンクのマフラーをなびかせている。背の低い女。
「マボロシブルー!ッゲホげホ…」
青のマフラーをなびかせている病弱そうな男。
レイス「戦隊物…しかもマボロシって…」
ウイング「だせぇ…アホちゃうんかあいつら。」
うんざりといった感じである。
リオン「ウイング、レイス。…引くぞ。」
その声からは恐怖といった感情が読み取れる。
ウ&レ『え!?』
リオン「引くぞ!はやく!」
真剣な眼差し。
頷きそれを受け入れる二人。
背を向け、走り出す3人。
レッド「あ!逃げた!」
ブルー「ここは泳がせておきましょう。彼ごときではどうすることも出来ませんからね。ゴッホ…」
ピンク「そぉ?ここで潰しといた方がいいんじゃなくて?」
グリーン「地下の転送妨害装置が攻撃されてる!どうする!?」
かなり慌てた様子である。
レッド「無視だ、無視。」
しっしといった感じの手まねで、指示を送る。

 

 

「壊れないよお!これ!」
台の上に置かれた四角い金庫のような箱に向かってビームを連射するSLR。ブラスト。
「やっぱり一人じゃ無理だったわ…」
髪の長い女性。勝本 瑠璃。
リオンに頼まれて地下まできた。そこまではよかった。この転送妨害装置(と思われるもの)が以外に耐久力があり、全然攻撃が効いている様子もない。
「あの…お手伝いしましょうか?」
瑠璃が後ろを向くと3人の少女とその愛機。KBT、VAL、CATのようだ。
瑠璃「それじゃ、お願いしちゃおうかな?」
「そんじゃ、総攻撃ぃ!」
ブラストのレーザーが、チャームの反応弾が、アルテマの剣撃が、安曇の電撃が、転送妨害装置を襲う。
今まで抵抗を続けていたそれは、所々爆発を起こし初めた。

ハヤト「大丈夫か、エクス!」
ビルの壁にぶつけられ、ズルズルと腰をつくエクス。
エクス「大丈夫じゃないかもしれない…」
今の一撃で、右腕に続いて左腕が機能停止する。
「わるいけど、拙者の勝ちだ。」
エクスの目の前に立ち、刀を突き刺さんとばかりに振り上げる。
もうだめか。目を閉じ、敗北を確信した。
――――ビィィィ!
「ぐあぁぁぁ!」
何事かと思い、目を開ける。頭が焼け焦げ、機能停止しているSAM型。
それを成したのは、風の狙撃手とまで呼ばれた、翼のカブトムシであった。
ウイング「エクス!大丈夫か?」
サムズアップしようと思ったが、腕がやられて動かなかった。
リオン「鍬利。」
ハヤト「なんだ。」
リオン「これを使え。」
黒いメモリースティックを投げる。放物線を描き、ハヤトの手の中に納まる。
ハヤト「なんだこれは。」
リオン「ネオウイニングシザーズの転送データだ。そのうちロボトルなんか言ってる暇がなくなるから付けとけ。」
ハヤト「転送できないんじゃないのか?」
リオン「大丈夫だ。転送できる。やってみろ。」
左腕のメダロッチにメモリースティックを挿す。ダウンロードがしっかり出来たのを確認し、転送する。
白いボディ、軽量化を最優先にし初代KWGに近いイメージのボディ。ソニックスタッグのようなハンマー。表面をビームコーティングされた刃。
エクス「本来なら師匠の体か…」
ぐっと拳を握る。
エクス「俺が師匠の分まで活躍してやる!」
リオン「よし、行くぞ。」
ハヤト「何処へ。」
にっと笑い、親指で後ろを指す。
リオン「ラスボスのところへ。」

ピンク「あ、戻ってきたわよ。」
リオン「なんで待ってたんだよ。」
レッド「なんとなく、ですよ。フフフ…」
あくまでも意味深な笑みを絶やさない。
ハヤト「あいつを倒せばいいんだな。」
ビルの如く呆然と立っている、その黒い影を見上げる。
リオン「まっ…」
リオンの静止がおくれた。
エクスが影に向かって飛ぶ。
斬った。ハヤトが思った瞬間、吹き飛んだ。エクスカリバーが。
ハヤト「な…」
リオン「ただ突っ込んだんじゃあいつは倒せねぇ。あれほどの巨体を、あんなに速く動かせるほどのエネルギーだ。…連続でいけば隙は出来る筈。」
レイスが、ビームリボンを振り上げて飛ぶ。一撃でビルに叩きつけられる。彼女の薄い装甲ではそれは絶えきれず機能停止。
エクスが、間髪入れずに刃を振り上げ、飛ぶ。右腕で簡単に払われる。
リオン「ウイング!」
思っていた通り、隙ができた。腹部を完全に丸出しにした無防備の体制。
ウイング「おおおおおおッ!」
全力の一撃を両腕から撃ち出す。
緑の光を放つ、大きなエネルギー弾。
レッド「GPシールド。」
左腕のメダロッチに向かって一言。
影がエネルギー弾を視界に入れた。銀色の膜が、幻夢を覆う。
パシュウ、と音を立てて消えるエネルギー弾。
ハヤト「シールド持ちかよ。」
リオン「参ったな…」
エクス『何がだよ…』
瓦礫の中から自力で這い上がるエクスカリバー。
リオン「もう打つ手がない。」
ウイング『速えぇよボケが。』
幻夢の拳をギリギリでかわす。
ウイング『なんか考えろっての!』
リオン「仕方ない…メダフォース”精霊幻影弾”!」
ハヤト「エクス、サポートにまわれ!」
ウ&エ『おうさぁ!』
ウイングが着地し、メダフォースを貯める。
その前に、エクスが立つ。
エクス「さて、どうすっかねぇ。」
右腕のソードを構える。
ウイング「ちょっとの間、頼むぜ…おおおおおおおおお!」
ウイングの回りを、六精霊のオーラが覆っていく。
六精霊のオーラが紋章を描いてウイングの周りを回る。
それに高度な技だからたくさんのメダフォースがいるのだ。
エクスが、精一杯に抵抗をする。ハンマーを伸ばし、影の腕を弾く。
左右に広げたウイングの手に、オーラが集まる。万物の精霊を宿した、両手を前で組む。
ウイング「精霊…」
組んだ手に、光が集まっていく。
ウイング「幻…」
紋章が輝きを増す。
ウイング「影…」
しっかりと目標を定める。
ウイング「弾!」
起死回生の一撃が、放たれる。

それは、ずいぶん遠くにいた影をも簡単に射止めた。

シヴァ「ずいぶん派手だな。」
巧「そだね。」
光が巨体にぶつかっている。その方向に歩き出すシヴァ。
シヴァ「いくぞ。」
巧「え?」
シヴァ「いくぞ、って言ったんだ。あれじゃ倒せねぇ。」
巧「う、うん。」

翔「どこ行くんだよ。」
ふらふらと光の方へ歩き出すマグナス。
マグナス「ん?あ、ああ。いや、こいつが行けって言ってるんだよ。」
右腕に持っていた剣を見せる。
翔「それって…ルーンストーンの精霊様って奴だな。」
マグナス「”様”って付くほど大した物には見えないが…いくぞ!」
光に向かって走り出すマグナス。
決着は…近い!




ウイング「どおだぁ!」
煙が、影を覆う。
リオン「ウイング、飛べ!」
背中のブースターを全開にし、空中に飛び上がる。
先ほどまでウイングがいたところを、煙を吹き飛ばし、拳が通る。
ウイング「うえぇ!?」
リオン「ちっ…参ったな。あれを耐えるとは。」
咆哮。
煙が吹き飛ぶ。
腹部がへこんでるものの、それ以外の傷は見当たらない。
エクス「参ったなぁ。」
バックステップで拳を避ける。ついでに、剣戟を一撃。僅かに切れる黒い装甲。
ハヤト「お、効いてる。」
リオン「あんま効果は得られそうにないが…」
一方ウイングの射撃も足を狙うが、表面の薄い膜によって、ダメージを軽減されてしまう。
ウイング「ずるいなあ。」
ブースターを使い、右に避けるウイング。そのまま着地しビームを連射する。
リオン「効果が出てこないな…」
右の拳がウイングに迫る。エクスほどの機動力がないウイングは、かわせない。
無駄だと分かっていてもガードの為に、右腕を上げる。
「無茶すんなよ。」
「そういう事だ。」
拳は、ウイングに当たらなかった。鎖に巻かれ、どこかに引っ張られるウイング。
地面に落ちる右前腕部。
幻夢の足元に着地するオレンジ。ウイングを鎖から開放する、白と蒼のカラーのメダロット。
「意外と薄いもんだな。」
地面に下りたウイングの後ろの瓦礫の上に立つ、オレンジ色の髪の毛の青年。
「危うく出番がなくなるところだった。」
黒髪で、短髪のやさしい雰囲気の少年が呟く。
リオン「あの剣…鋼か。」
オレンジが持つ剣を見て。
「ご名答。さすが神龍さん。マグナス、もう一本腕落としてやれ!」
マグナス「おうさ。」
幻夢の蹴りを剣で受けとめると、幻夢の膝に飛び乗り、そこから大きく跳躍。
大きく振りかぶり、縦に間接を切り裂く。
翔「これで相手は無力化ってわけだな。」
勝ち誇ったような笑みを浮かべる翔。
「無駄だ!」
マボロシレッドの声が響く。
レッド「そいつの動力にはGPストーンというのがつかわれていてなぁ、時間が経てば自動で回復するんだよぉ。しかもGPストーンは膜で包まれている。貴様らではこわせんわい!」
リオン「だったら…やってやろうじゃねぇの!」
拳を突き出す。そして、挑戦的な瞳。
巧「どうやるんですか?」
リオン「ぶつける。」
巧「は?」
リオン「ウイングの射撃で、シヴァとエクスカリバーを撃つ。それで装甲を切れたらマグナスの剣で切らせる!」
ウイング「まぁ、やってやるさぁ!」
両腕の射撃武器のチャージをする。腕の甲に乗るエクスとシヴァ。
ウイング「意外と軽いな。」
エクス「ま、格闘型だからな。」
シヴァ「なるようになれってことで。」
回復に専念し、動きを止める幻夢。チャンスは今しかない。
リオン「撃てぇぇ!」
ウイング「うおおおおお!」
両腕を前に突き出す!銃口に足をかける二体。
EN弾が放たれる。それによって、真っ直ぐ標的に突き進む!
シ&エ『おおおおおお!』
シヴァのソードを紫のオーラが包む。
エクスカリバーのソードを水のオーラが包む。
シヴァ「覇神斬!」
紫の斬激が、幻夢のへこんだ腹部に切れこみを入れる。切れこみから姿を覗かせる赤く輝く石。別名フユ―ンストーン。
エクス「水閃!」
水の一撃が、先ほどとは逆の切れこみをいれる。更に、赤い石が見えてくる。
エクス「後は任せたぜ。」
幻夢の肩に乗り、そこから飛び降りる二体。

ウイング「おおおおおお!」
右腕を、左手を添え支える。エネルギーが全開まで溜まる!
ウイング「行くぜ!」
マグナス「おおう!」
銃口に、足をかける。
エネルギー弾が撃ち出される。
それに押され、マグナスが飛ぶ。
剣を構える。狙うはGPストーン、ただ一つ。
「メダルまで切っちゃダメよ。」
耳元で妖精がささやく。分かってると返すマグナス。
GPストーンのフィールドをつきぬける。二人が入れた切り傷。その先にあるものに狙いをつける。
エネルギー弾がフィールドに打ち消される。推力は、もうない。
しかし、切るには十分な間合い。
翔「いっけぇぇぇぇ!」
マグナス「真空、一文字切り!
鋼が、膜を打ち消した。そうなれば、ただの石と剣。
…剣が石を、中心から真っ二つに切り裂く。
レッド「な…な…そんな馬鹿な!」
石が力の行き場を失い、
崩壊していく。
力を失った巨体が、
崩れていく。
リオン「ウイング!」
ウイング「おう!」
背中のブースターで、飛ぶ。
崩壊していく体をウイングが突き抜ける。
身体の中で、ウイングが何かを掴んだ。落ちかけたマグナスと一緒に。

ブースターを切り、着地。
リオン「取れたか?」
ウイング「ああ。」
薄ら笑いと浮かべ、拳を握りなおす。
ウイングの手の中で輝く、六角貨幣石。通称”メダル”と呼ばれるもの。

レッド「そんな馬鹿な!GPストーンが砕かれるなんて!」
リオン「甘いんだよあんた等。」
レッド「なんだと!」
びしっ、とマボロシレッドの顔を指差す。
リオン「まずはネーミングセンスがダサイ!なんだよマボロシって!」
ぐっ…と呟き一歩下がるレッド。
リオン「次!GPストーンをアレの動力に使った時点で間違ってるんだよ!あの大きさのもの1体作るんだったら普通のメダロット100体につけた方が100倍は強い!」
同じように下がるブルー。
リオン「…ああ、めんどくさい!率直に言う!お前ら戦隊物のくせに四人しかいないってことがおかしいんだよ!戦隊物にはカレー好きのイエローがいるっていうのが常識なんだよ!
何かに刺された様にうずくまる四人。
巧「(たしかにそうかもしれないけど…ここでいう事かなぁ)」
たしかにどこか露点がずれてる気がする。
ピンク「それは…それは…言っちゃいけない事だったのにぃ!」
そうだったんだ。
レッド「グリーン、お主カレーを食べなさい!」
グリーン「カレーを食べたって人数はかわらんだろうが!」
ブルー「き…貴様ら…ゴッホ、…メダロット転送!」
彼らの目の前に転送される4体のメダロット。
ハヤト「ロボトルか…エクスカリバー!」
巧「シヴァ!」
翔「マグナス!」
リオン「ウイングぅ!」
それぞれが、自分の武器を構える。
ウイングのレーザーが、頭部を貫く。
エクスのハンマーが顔面に減り込む。
マグナスの剣が、頭と胴体を切り離す。
シヴァの技で、頭部が細切れになる。


瞬・殺。










結局、主催者である彼らが逃げてしまったと言う事で、メダロットACは景品は無しと言う事になってしまった。
最強が誰か?それの決着がつけられなかったわけである。
リオン「なんだぁ、結局誰が一番強いかわかんねぇってわけか。」
夕日を見ながら、残念そうに呟く。
翔「だったら今決着つける?」
冗談じみた口調でメダロッチを構える。
巧「あはは…いいですね。」
笑いながら、メダロッチを構える。
ハヤト「やってやろうじゃねぇか!」
自信満々の笑みで、メダライザーを構える。
リオン「…やるか!」
右腕のメダロッチを構える。
4人『転送!』
それぞれの主の前に現れる4体。
夕日で少し赤くなっている。
龍祐「ここは僕が代表して…」
ハヤト「いたのぉ!?」
龍祐「ま、いいじゃないですか。それでは…」
こほん、とせき払いを一つ。
右腕を振り上げ…
『ロボトルファイト!
龍祐の右腕が振り下ろされる!
ウイングが、右腕を構える。
マグナスが、背中の剣を抜く。
シヴァが右腕のソードを戦闘サイズに伸ばす。
エクスが、ソードにコーティングをする。
『おおおおおお!』
飛び出す4体。
最強を決める、最後の戦いが始まる!

Fin




出演

翼のメダロットより
神龍 リオン(24) ブレードウイング
リュー
レイス
勝本 瑠璃 ブラスト
安藤 リウ テムジン
大西 恭治 メタビー
撚糸 真理 和紙
浅野 真
風吹 淳志 ヒュール
 
メダロッター流より
海 流 ファイア
青雲 源 フリーズ
 
もう一つの翼より
神龍 龍祐 ライトニング
ナース
冴慈 晃 テラカド
牙島 禮 ドライヴ
女子3人(笑) 安曇
チャーム
アルテマ
   
白きクワガタの伝説より
鍬利 ハヤト エクスカリバー
白虎 ショウ イエーガー
神龍 リオン(14)
 
未発表作品
君が教えてくれたものより
拓斗 翔 マグナス
 
友情出演
安堂 巧 シヴァ
 
メダロットACオリジナル
マボロシレッド 幻夢
マボロシブルー その他4体
マボロシピンク
マボロシグリーン

配給 α-ZERO
作成・脚本 あさがや シヴァ